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船宿たき川捕物暦
カテゴリ: 樋口有介 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第56回。
樋口有介の『船宿たき川捕物暦』

ゲームばかりやってないで小説の感想も書かなくては。

それにしても、この人が歴史物も書いてるとは知らなかった。
まあきっと例によって無駄にもてる主人公なんだろうと思ったが……その通りだった(笑)
ただその主人公真木倩一郎が柚木草平と違うのは小野派一刀流の「青鬼」の異名通り、鬼のように強いということ、そして一途だということだ。
道場の娘、綾乃や、幼馴染の由紀江など女性は複数登場するが、メインを張るのは岡っ引きのまとめ役、米造の娘、お葉だ。
さらわれそうになったところを倩一郎に助けられるという登場シーンなのだから恐れ入る。
ヒロインの王道だ。
だが、こんなヒロインの王道の登場をしておきながら、出戻りだったりするあたりが何とも樋口有介らしいではないか。

お葉のかどわかしの犯人を探るうちに、背後に浮かび上がる田沼の名。
このあたりが物語の本筋となる。
のだが、いろいろと回収されていない伏線があるような。
由紀江は? 米造の息子夫婦を殺した犯人は?
見落としたわけではないと思う。
最初から続編を書くつもりだったのだろうか。
期待しておこう。

余談だが、倩一郎は躊躇なく人を斬る。
江戸時代の侍であることを思えば当たり前なのだが、意外とそういう作品は少ないのではないだろうか。
歴史物にあまり現代の価値観を当てはめるのは好きではない。
その点この作品は良かった。
江戸という時代を卑下も讃美もせずに淡々と描いている(もちろん史実に忠実かどうかとは別の問題だ)。
倩一郎があんまり淡々と人を斬るから、これはダークサイドに堕ちるかとも勘ぐった。
米造の息子夫婦を殺したのはまさか、などとも一瞬思ったが、当然違った。

結論としては、面白かった。
続編はもう文庫化されているのだろうか。



評価:A



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(2007/08)
樋口 有介

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Edit / 2009.06.12 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
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2008 11/13(木)開設

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