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半分の月がのぼる空6 life goes on
カテゴリ: 橋本紡 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「オレやおまえみたいなバカには、わからねえんだ!」


第二百七回
橋本紡の『半分の月がのぼる空6 life goes on』

里香が退院した。
そして、僕と同じ高校に入学することとなった。
穏やかで、普通の高校生活。
しかしてその裏で、とある事態が進行していたのだった。

本編完結となる第六巻。
残りの二巻は短編集となるようだ。
となると八巻の表紙はフェイクか?
それとも?
まあそれは読んだらわかることだ。

正直里香が退院することになるとは思わなかった。
てっきりずっと入院したままの生活なんだとばかり思っていた。
その予想は当たらなかった訳だが、でも当たらなくてきっと良かったのだ。

私は最初夏目があまり好きではなかった。
まあ何というか、大人げなかったからだ。
もちろん、大人が、子供が思っているほど大人ではないということくらい知っている。
それでも大人は大人であろうとすべきだと私は思うのだ。
特に子供の前では。
夏目はきっと、それを放棄していた。
でも、きっと過去の自分を裕一の中に見るうちに、そして裕一が少しずつ、でも確かに成長していくのを見るうちに、夏目も変わっていったのだ。
だからこの巻の夏目は格好いい。
失った夏目が、いつか失う裕一に語る言葉。
綺麗事だけを口にする訳ではなく、残酷な現実もしっかりと見つめながら、自分と同じ道を行こうとしている裕一に、大人として言葉を贈る。
いいじゃないか。
それを裕一が素直に受け取らないというのもいいよなあ。
どれだけ覚悟したって、里香を失った時、裕一は打ちひしがれるだろう。
ひょっとしたら、立ち直れないかもしれない。
夏目はそれを、経験として知っていて、裕一は、まだわかっていない。

そう、里香の手術は成功したが、それでも里香はきっと三十歳までは生きられない。
体の負担を考えれば、子供を作ることもできないだろう。
裕一は、必ず里香を失う。
でも、本当はそれは里香や裕一に限ったことではないのだ。
誰にだって、明日が約束されている訳ではない。
そう、私にだってあなたにだって。
それはもう確率の問題でしかなく、誰だって明日死ぬということはあり得るのだ。
ひょっとしたら、裕一の方が先に死んでしまうかもしれない。
里香は、病気とは別の理由で死んでしまうかもしれない。
永遠を手にすることは、命を持つ我々には、できないことなのだ。
だからきっと、大切なのは選ぶことだ。
大切な人といることを。
大切な人を守ることを。

甘いだけじゃなく、確かに苦さも含まれている。
青春とはきっとそんなものだ。


評価:AA+


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(2006/02)
橋本 紡

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Author:gaker
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2008 11/13(木)開設

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