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宵山万華鏡
カテゴリ: 森見登美彦 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 小長井のエンジンは、山田川敦子無しには起動しないのであった。


第百七十三回
森見登美彦の『宵山万華鏡』
祇園祭を舞台とした、様々に表情を変える連作短編集。

「宵山姉妹」
姉とともにバレエ教室に通う少女。
宵山の日に姉と寄り道をしていると、姉とはぐれてしまう。
そこで不思議な少女達と会い、彼女らについていくことになったのだが……。

しょっぱなはホラーである。
少女達がなかなかに不気味な雰囲気だ。
彼女らの正体などはこの後の短編の中で明らかになっていく。

「宵山金魚」
宵山法度違反により屈強な男達に捕らえられ、宵山様の元に連れて行かれる「俺」
次々と現れるヘンテコなものに翻弄される「俺」の行きつく先とは。

今度は一転してバカバカしくも面白い森見ワールドである。
なのだが、必ずしもそうともいえないことが後々分かってくる。
この辺り、短編同士が絡み合っていて面白いところだ。

「宵山劇場」
偏屈な男、小長井が乙川という男の友人を騙す壮大な計画に、バイトとして雇われる。
そこで小長井は、かつて自分を振り回した山田川と再会する。

またもやバカバカしい森見ワールドで、「宵山金魚」の舞台裏となる一編である。
個人的にはこの短編集の白眉といえる一編である。
なんと言ってもまず高藪である。
高藪といえばあれだ、デビュー作『太陽の塔』の主人公の友人だ、確か。
いま少し手元にないので確認できないが間違いないと思う。
自分を好きになった女性が現れたとか言っていたが、それってひょっとして岬先生だったりするのかなとか思いながら読んだ。
いやあ作品同士のリンクというのは好きだなあ。
そして小長井と山田川の関係である。
なにこれ甘酸っぱい!
バカバカしい中にこういうのもひょいっと放りこんでくるからなあ、上手いなあ。
そしてその後はけして書かない。
心憎い限りである。

「宵山回廊」
千鶴が画家の叔父の元を訪ねると、叔父は宵山の一日を何度も繰り返しているという。
その原因は十五年前の宵山の夜に消えた叔父の娘を当時の姿のまま発見したことだという。
叔父にいったい何があったのか。

一転してまたシリアスになる。
「宵山姉妹」少し出ていた印象的な人物、柳さんがキーパーソンのようだ。
同じ一日の繰り返しというのは良くあるネタだが、繰り返している人物ではない視点から描かれるのは珍しく思う。
オチは何ともいえない気分になる。

「宵山迷宮」
「私」が朝目覚めると、また宵山の日だった。
同じ一日を繰り返す「私」はどうすればこの宵山の日から抜け出すことができるのか。

あらすじだけ見ると千鶴の叔父の話のようだが、この「私」は柳さんである。
柳さんもまた同じ宵山の一日を繰り返していたのだ。
そして乙川が再登場する。
一転して怪しげで不気味な雰囲気である。
乙川の取引先については最後の短編で判明する。

「宵山万華鏡」
妹とともにバレエ教室に通う少女。
宵山の日に妹と寄り道をしてるうちに、妹を置き去りにしてしまう。
妹を探しているうちに不思議な大坊主に会い、大坊主の持つ風船が欲しくなり、宵山様のところにならあるということで、ついていくことになる。

「宵山姉妹」の姉サイドの話である。
姉の方も姉の方で色々と不思議な体験をしていたようだ。
あの少女達が宵山様だったのか。
なーる。
しかし山田川の妄想がことごとく的を射ていたとは驚きである。


六つの短編が全て絡まりあい、一つにつながっている。
疑問点もいくつかあるが、そこを追求する種類の作品ではないだろう。
ファンタジーである。
しかし、高藪が登場したことで、彼に何があったのか改めて気になってきた。
それが描かれる日は来るのだろうか。


評価:A+


宵山万華鏡 (集英社文庫)宵山万華鏡 (集英社文庫)
(2012/06/26)
森見 登美彦

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Edit / 2012.08.22 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
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Author:gaker
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2008 11/13(木)開設

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