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ハーモニー
カテゴリ: 伊藤計劃 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

どこまでが自分の身体なのだろう。どこまでが大気の冷たさなのだろう。
わたしにはもう、その境目がわからなくなっている。


第百五十七回
伊藤計劃の『ハーモニー』
フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞
第30回日本SF大賞受賞
「ベストSF2009」第1位
第40回星雲賞日本長編部門受賞

<大災禍>と呼ばれる世界的な混乱を乗り越え、高度な医療福祉社会となった世界。
その世界はあらゆる病が駆逐され、自らのあらゆる情報を常に開示しあい、互いを気遣いあう理想郷となっていた。
そして、その理想郷に嫌気が差した三人の少女は自殺を試みる。
そこで死に損ねた二人の少女のうちの一人、霧慧トァンは、世界を襲った大混乱の背後に、死んだはずの少女、御冷ミァハを見た。

まず賞の受賞っぷりが凄い。
特にフィリップ・K・ディック賞というのは、日本人SF作家初受賞のようだ。
日本の現代文学が世界的に評価されるというのはあまり聞かない。
凄いことだ。
だが、正直言って私は『虐殺器官』を超えてくることはないだろうと思った。
侮っていた。
そして衝撃を受けた。
あっさり超えてきた。

『ハーモニー』はHTMLのような独特の文体で書かれている。
etmlとなっているがeは憶測だが「emotional」あたりだろうか。
まあこの文体については読めば分かる。
最後まで読むともっと分かる。

さて、内容だが、今作は『虐殺器官』で描かれた世界の未来の話となっている。
<大災禍>とはまず間違いなく『虐殺器官』の最後に主人公の行ったことの結果だろう。
これを乗り越えた世界は、完璧な管理社会となっていた。
それはユートピアでありながらディストピアでもある。

序盤は少し退屈だった。
しかし、第一章(と便宜的に呼ぶ)の終わりに起こった事件から一気に面白くなる。
衝撃過ぎるだろうこれは。
世界中を人質に取ったこの事件を解決するためにトァンは奔走する。
しかしそれは世界のためではなく、あくまで自分の抱える問題のために。

重たく、難しい問題に正面から取り組んでいる。
自分とは何か。
意識とは何か。
魂とは何か。

しかし面白い。
第一章の最後からはもう先が気になって仕方ない。
そして、『虐殺器官』を読んでいる身としては、ラストの想像が大体ついてしまうのだ。
意外な部分もあったが、概ね予想通りだった。
いやはや空恐ろしい結末だ。

作者がすでに故人であることが残念でならない。
後残る長編はメタルギアのノベライズか。
でも4はまだやってないんだよな~。
さすがに原作をやる前にノベライズを読む気はしない。
好きなゲームだし。


評価:AA+


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Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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