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チェーン・ポイズン
カテゴリ: 本多孝好 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

人はみな孤独です。誰だって一人分の孤独を抱えている。そんなものに重いも軽いもない。等しく一人分の孤独を、みんな抱えているんですよ。


第百五十回
本多孝好の『チェーン・ポイズン』

突発性難聴になった天才バイオリニスト、残虐な事件の遺族、三十代の元OL。
同時期に毒物を飲み自殺した三人。
そこに興味を持った週刊誌の記者、原田は調査を開始する。

物語は調査を進める原田と一年後に死ぬことを考える三十代の元OLの二人の視点で進む。
原田は三人に毒物を渡した人物を追いかけ、三十代の元OLは自分が死ぬに足る理由を見つける。

さて、以下はネタバレを含む。

語り手の一人である女性と高野章子が同一人物ではないことは早い段階からわかった。
彼女は明らかに高野章子とは一線を画す。
強いのだ、
彼女は。
施設の子供たちや工藤とのやり取りからもそれは明らかだ。
死のセールスマンの正体もまあ、上記のことと消去法でわかった。

冒頭に引用した台詞など、本多孝好らしい所が散見されていていい。
独特の味のある文章だと思う。
好きだな~、こういうとこ。
ただ、強く惹きつけられる部分は少なかったように思う。
本多孝好の中では下の方か。

作中の人物の中でとりわけ、そう醜悪といってもいい人物がいる。
もちろん見た目ではなく心根の話だ。
それはベンツではなく、彼の母親、園長だ。
彼女のしたことはあまりにひどい。
あれは背信だ。
子供たちや、工藤達にはもちろん、それ以上に彼女自身、彼女の今までの生き方に対しての背信だ。
死の間際だから仕方ない、ではない。
死の間際だからこそなのだ。
あまりに、無責任だ。
さらっと流されているのは恐らくわざとだろう。
流されているからこそ、私は強い不快感を園長に対して覚えた。
確か以前の作品にもこんな話があった気がする。
『MISSING』の中の一編だったか。
今作では主人公がそのことにさほど憤りを覚えない分、読者が憤りを覚えるようになっているのかもしれない。

目の前に一錠飲むだけで楽に死ねる薬があったとして、どれだけの人がそれを口にするのだろうか。
どれだけの人が飲まずにいられるのだろうか。
生きていくということは、面倒くさいことだ。
楽しいことだってある。
だが、多分きっと辛いことの方が多い。
だからと言って死ぬのも現実的に考えれば面倒くさい。
方法は色々あるだろうが、そのほとんどが痛かったり苦しかったり怖かったりだ。
でも、一錠飲むだけで楽になれるのなら?
それは確かに甘美な誘惑なのかもしれない。

読後感は何とも言えない。
ハッピーエンドと言えばそうなのだが。
何だかもやもやする。
彼女と子供たちの抱えていた問題があっさり解決してしまったというのもあるだろう。
まあこれはわざとそうしたのだろうが。
あっけない偶然でたやすく世界はがらりと変わるということだ。
いい方にも悪い方にも。


評価:A+


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(2012/01/17)
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gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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