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ZOO1
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 中から、姉の笑い声が聞こえた。高く、劈くような声だった。


第百二十七回
乙一の『ZOO1』

ジャンル分け不能の短編集『ZOO』から、映画化された五編を収録した一冊。
いや、これは凄い。
天才と呼ばれる訳だ。
初めて読んだのは随分前だが、今回再読して改めてそう思った。


「カザリとヨーコ」
同じ容姿を持つ双子の姉妹、カザリとヨーコ。
しかし姉のヨーコだけが、母親から虐待を受ける。

しょっぱなから飛ばしている。
母親から虐待を受け、妹からも侮蔑の目で見られ、それでも妹のカザリを愛するヨーコ。
この時点で十分に歪んでいるのに、これがヨーコ視点の一人称だと言うのがやばい。
ヨーコの軽妙な語り口と、実際に起こっていることとのギャップがもうね。
そして乙一はヨーコに救いの手を伸ばし、持ち上げてから、その手を引っ込め、落とすのだ。
これがまたえげつない。
そして全く救いのないラスト。
にもかかわらず明るいヨーコ。
もうほんとやばい。


「SEVEN ROOMS」
謎の殺人鬼に拉致監禁された姉弟。
脱出することはできるのか。

「1」、「2」を合わせてもこれが『ZOO』の中でベストだろう。
直接的にスプラッターな話だが、そこはそんなに問題ではない。
何といっても圧巻のラストだ。
犯人の正体も明らかにはならないのに、裏をかかれたという訳でもなく、予想できるラストなのにこの衝撃。
そして凄まじい後味。
いやはや、これはすごい。


「SO-far そ・ふぁー」
ある日突然、父は母を、母は父を認識しなくなった。
お互い、相手は列車事故で死んだものだとぼくに話す。

これはタイトルが上手い。
そして精神的にえげつない話だ。
ラストが切なく、悲しすぎる。


「陽だまりの詩」
人間が死に絶えた世界で作られたアンドロイドである私。
私を作った彼を看取り、埋葬するのが存在理由である。

ここでやっとえげつなくない話。
オチは割と早い段階から予想できた。
儚く、美しい世界観が好きだ。


「ZOO」
今日も俺のかつての恋人の死体の写真が郵便受けに入れられていた。
しかし、これを入れている人物は……。

表題作。
自分が殺したのに犯人を探し続ける演技をする俺。
自首する勇気、正確には自分が彼女を殺したことを認める勇気が持てず毎日演技を繰り返す。
これまた歪んだ話だ。


全体のレベルが極めて高く、天才、乙一の最高傑作の一つと言えるのではないだろうか。


評価:AA+


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(2006/05/19)
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Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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