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私の男
カテゴリ: 桜庭一樹 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「好きよ。おとうさんは、娘に、なにをしてもいいの」


第百八回
桜庭一樹の『私の男』
第138回直木賞受賞作

物語は花の結婚から始まり、震災で孤児となった十歳の花を、二十五歳の淳悟が引き取り親子になるまでを時を遡って書かれている。
それは二人の罪を遡ることでもある。

評価が難しい、ただ、凄い、作品だ。
何か圧倒的な力がある。
人を選ぶ作品だろうと思う。
だが私は圧倒された。
単純に好きとは言えない。
だが圧倒されたのだ。
二人の犯した罪にだろうか。
二人の犯した禁忌にだろうか。

淳悟は不思議な魅力のある男だ。
落ちぶれた貴族のように優雅、らしい。
イメージできるようなできないような。
そして時系列によって、別人のようにも見える。
若くなるほどまともで、理解可能な人間になっているように感じる。
一番不思議で、よくわからないのが40歳の淳悟だ。
花との関係が淳悟を変えていったのか。
きっかけは、花が罪を犯したことか。
いやそれを言うなら、やはり花との「関係」こそが原因か。

逆に花は若い時の方が不可解に映る。
そう言えば花が時間にルーズなのは何でだったんだろう。
原因については確か触れられていなかったはずだ、多分。

淳悟ではない方の花の父親だが、彼は全てを知りながら花を娘として育てた。
そして最後に花をトラックに乗せて「生きろ」と言った。
きっと娘として愛していたのだろう。
例え血が繋がっていなかったとしても。
だがその愛情は娘には伝わっていなかったのかもしれない。
そう思うと、切ない。

田岡は、殺人を犯す人間は根本から、他の人間とは違う人間だと言った。
私は違うと思う。
そう思う私は田岡の言うところの分かっていない人間なのかもしれない。
それでも私は違うと思う。
その一線は普段は気付かないだけで、すぐそばにあるのだ。
私の、そしてあなたのすぐそばにも。
それで、その線は、環境や出来事などの何かのきっかけで越えてしまえるものなのだ。
生まれつき、その線のすぐそばに立っている人もいるだろう。
比較的遠くに立っている人もいるだろう。
だがその違いは程度でしかない。
誰もが越えられるのだ。
そう、思っておかなければいけないと思う。
この田岡の考えは、桜庭一樹の考えだろうか。
それともそうあってほしいという願いだろうか。

色々と考えるところの多い作品だった。
だがこれが直木賞に選ばれたというのはすごいな。
調べたら評価は割れていたようだ。
これだけの問題作だ、そりゃあ評価も割れるだろう。
私の評価としては、うん、面白かった。


評価:AA-


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(2010/04/09)
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Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
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2008 11/13(木)開設

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