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枯葉色グッドバイ
カテゴリ: 樋口有介 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「誰もがなりたくないと思い、それでいて誰もがなれてしまう。そこがホームレスの面倒なところだな」


第八十五回
樋口有介の『枯葉色グッドバイ』

元刑事のホームレス、椎葉明郎は、ある一家惨殺事件を解決するために女性刑事、吹石夕子に日当二千円で雇われる。
椎葉の導きだす惨殺事件の真相とは……。

今回の主人公はホームレスである。
なのにやたらともてる。
樋口作品のお約束であろう。
女子刑事の夕子にも、惨殺事件の生き残りの美亜にも好意を寄せられる。
この美亜のキャラクターが魅力的だ。
多感な年ごろの少女を上手く描いている。

樋口有介といえば青春ミステリーかライトタッチハードボイルドのイメージが強いのだが、今作は違う。
序盤から一家惨殺の場面を犯人の視点から生々しく描き、その後起きる殺人事件も凄惨だ。
美亜の出自のこともある。
主人公の思惟場も暗い過去を持ち、樋口作品の他の作品の主人公のように軽くない。
個人的には軽い方が好みなのだが、この作品にはぐいぐい読ませる力がある。
また、軽妙だが回りくどい台詞の数々も健在だ。

事件についての推理は二転三転どころではなく転がる。
その結果導きだされた真相には正直それはないでしょうと思った。
実質ノーヒントだ。
これの犯人を当てれたらすごいと思う。
まあ樋口作品に精緻な謎解きは期待していないのでいいのだが。
ミステリーだと思って読むと痛い目を見るだろう。
面白いのは事件の真相ではなく、それに至る過程である。

まあ、とは言え面白かった。
ミステリーの部分に目をつぶれば傑作といって問題ないだろう。
ただ裏表紙の「ハートウォーミングな長編ミステリ」という看板には偽りありだと思う。


評価:AA-


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(2006/10)
樋口 有介

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Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
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2008 11/13(木)開設

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