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機動戦士ガンダムUC 10 虹の彼方に(下)
カテゴリ: 福井晴敏 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「人の一生は短い。それひとつでは意味をなさない一瞬の“光”だ。だから人を愛せ。絶望する間に、今できる最善のことを見つけろ。そうして連なり、響きあった時に“光”は初めて意味をなす」

「灯して、繋げろ。可能性の“光”を」


第八十三回。
福井晴敏の『機動戦士ガンダムUC 10 虹の彼方に(下)』

とうとう最終巻である。
バナージ達の長かった戦いも終わりだ。
そう思うと感慨深いものがある。
ネタバレ全開で行くのでそのおつもりで読んでいただきたい。

バナージ達はとうとうラプラスプログラムの示す最終座標。
ラプラスの箱のありか、インダストリアル7のメガラニカにたどり着いた。
ユニコーンで中を進むとビスト財団宗主の氷室への道が姿を現した。
その道の先で、ビスト財団宗主サイアム・ビストと対面し、ラプラスの箱の真実を知る。
それは、現在の宇宙世紀憲章には存在しない第七章第十五条。
その中でもとりわけ、

二、将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させることとする。

という一文である。
これこそがビスト家を百年もの間縛ってきた呪いである。
そして祈りでもある。

蓋を開ければ拍子抜けといってもいい。
バナージが言うように、“たったそれだけのこと”なのである。
この辺り、というかラプラスの箱の存在そのものが『Twelve Y.O.』のBB文書を思い起こさせられる。
だが、ラプラスの箱はBB文書と違い、たったそれだけでありながら同時に戦争の引き金へともなりかねない大きな力を持つ一文でもある。
宇宙に適応した新人類というのは誰でもニュータイプのことだと考えるだろう。
だが宇宙世紀憲章ができたのはニュータイプと呼ばれる存在が生まれる79年前に作られたものだ。
だが、参政権を持たないスペースノイドとスペースノイドを政府運営に参加させたくない連邦政府という現在の状況では、新たな戦争の火種となりかねない。
本来、この条文は1000年、2000年先の未来へ向けての祈りだった。
だが、ジオン・ズム・ダイクンがニュータイプ論を唱え、実際にニュータイプと呼ばれる人々が現れたのは、百年もたたぬうちだった。その時からこの条文は祈りでありながら呪いと化したのだ。

「でも、ひとりの人間としてなら。あなたがいて、父がいて、自分がいる。世代を重ねて、少しでも前進してきた人間のひとりとしてなら……答えられます

バナージはラプラスの箱を開けることを決意した。
サイアムは全世界へ向けて通信をジャックして放送する準備を整えていた。
しかし、ここでマリーダがとどめを刺しきれなかったフル・フロンタルがメガラニカに侵入していることが分かる。ミネバが全世界に向けてラプラスの箱の真実を伝え終わるまで守らなければならない。
フロンタルの正体も明らかになる。
赤い彗星――シャアの再来として、器としてシャアに似せて作りだされた強化人間。
それこそがフル・フロンタルの正体であった。

フロンタルと激しい白兵戦を繰り広げるバナージ。
しかしバナージがフロンタルを見失った隙に、ボロボロのシナンジュに乗り込むフロンタル。
ボロボロとは言え人間とMSでは話にならない。
そこに助けに入ったのはガエルだった。
バズーカでシナンジュを牽制するも、ビームライフルの一撃で消滅してしまう。
激昂してユニコーンを“呼ぶ”バナージ。
ユニコーンはバナージに答えて、バナージの元へ現れる。
この辺はバナージが相当強力なニュータイプであることを描いている。
しかしボロボロのシナンジュを仕留められないバナージは次第にマシーンに呑まれていく。
いや、それでフロンタルを倒せるならよしと考える。
だが、

――それは違う、と教えたろう? バナージ。

とマリーダやダグザ、ギルボアやカーディアスの思惟がバナージに語りかける。
そこにリディのバンシィとトライスターの面々が助けにくる。
不覚にも挿絵のWラストシューティングは格好いいと思ってしまった。
いや全然ラストじゃないけど。
そしてユニコーンのビームサーベルでシナンジュは千々に引き裂かれる。

これで大団円と行きたいところだがまだコロニーレーザーがある。
これに対しバナージは何とありったけのユニコーンのパーツを周辺宙域にばらまきサイコ・フィールドのバリアーを張ると言う。
さらにこれにアルベルトが持ってきていたサイコフレームも足し、バンシィも協力してバリアーを張る体制を整える。
そんな危険なまねはやめろ、皆生きていればそれでいいというミコットに対しバナージは、

(おれは、父さんのことを何も知らなかった。ずっと一緒にいたのに、母さんのこともわかっていなかった。なんにも知らないで、ずっと自分がずれているような気がしていた。でも、わかったんだ。父さんも母さんも、よかれと思っておれを生み育ててくれたんだってことが)

(それがわかって、とても安心した。いまの自分を受け入れて、未来って言葉の意味も考えられるようになった。多分、それと同じことなんだよ。百年前、宇宙世紀を始めた人たちは、増えすぎた人間をただ宇宙に棄てたんじゃない。できる限りの祈りを込めて送り出したんだって、知ることができれば……)



ミネバもメガラニカに残る決断をした。
もちろんジンネマンらは反対するが決意は揺るがない。

(自信があるのでしょう? やってみせなさい。そして必ず帰ってきて。約束を違えることは許しません)

熱いセリフだ。

一方コロニーレーザー側ではアルベルトが標準内にいることを知りマーサが動揺する。
しかし、マーサはレーザーを打つように言った。
ここでもまた身内が身内を殺す決断をする。
ビスト家の呪いか。
しかしリディが現場にいることがローナンに伝わった時にはもう手遅れだった。
ついにコロニーレーザーは発射される。
射線上にあるものを消し去りながらメガラニカに向かう不可視の光。
それを受け止めた時バナージは逆行する時間を見た。
バナージの“我”が“全体”に再構成されていく。
バナージは未来をも見る。
サイアムが言った通り変わらず戦争と再生を続ける人類の未来を。
そしてバナージは世界を見た。

結論からいえば、バナージはコロニーレーザーを止めることに成功した。
そしてバナージはフロンタルが予言したとおり、究極の感応の末、ユニコーンと一つとなり、同時に“全体”となり虹の彼方へ行ってしまった。
ミネバの放送が響く中、リディの呼び掛けに応じないバナージ。
すでに肉体を必要としない次元に到達してしまったのだ。

「……冗談じゃない。認めない。こんなのが人の進化の終着点だなんて、おれは認めないぞ」

バンシィまで感応しユニコーンに追随し始める。
しかしリディは自らの思惟でそれを止め、ユニコーンを追いかける。
リディ、熱いな~。

アンジェロが生きていたのは意外だった。そしてそこに流れ着くフル・フロンタルの死体を載せたコックピット。
少しできすぎだが、いいだろう。

バナージは、人々が響きあい引き寄せる未だ来ぬ時間を見て、それに加われない自分にずれを感じた。
そしてカーディアスやマリーダの思惟が語る。

“それでも”と言い続けろ、と。為すべきではなく為すべきと思ったことを為せ、と。

そこで初めて振り返ったバナージは肉の体に戻ることを決める。
そして行くべき場所はもちろん……。


いや~、面白かった。
最終巻の密度の濃さ、熱さはすごい。
読みふけって電車で降りそびれてしまった。
ただ一つだけ残された疑問がある。
La+の意味は?
何かの略称じゃなかったのか?
意味なんてなかったのか?

福井晴敏はいわゆる大衆に絶望しているのかもしれない。
多分そうだろう。
大衆の愚かさは複数の作品で語られている。
だがそれでも人の持つ善意を信じているのだろう。
だから福井作品は重いかもしれないが暗くはない。

アニメ版も見たいのだがツタヤでずっと借りられている。

そう言えばユニコーン関連で検索してくる人結構多いけどコメントがないな~。
皆さん恥ずかしがらなくてもいいんですよ~(笑)

評価:AAA
作品全体としてみたらAA+かな。
ちょっと遊びすぎです。


機動戦士ガンダムUC (10)  虹の彼方に (下) (角川コミックス・エース 189-12)機動戦士ガンダムUC (10) 虹の彼方に (下) (角川コミックス・エース 189-12)
(2009/08/26)
福井 晴敏

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Edit / 2010.10.12 / Comment: 14 / TrackBack: 1 / PageTop↑
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プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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