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妖怪アパートの幽雅な日常4~7
カテゴリ: 香月日輪 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百六十六回
香月日輪の『妖怪アパートの幽雅な日常』4~7

夏休みになった夕士の修行がレベルアップしたり、個性的な教師がやってきたり、修学旅行に行ったり、色々あったり。

買っちゃった物はしょうがないので頑張って読んだ。
巻を重ねるごとに読むのがしんどくなっていった。
原因はいくつかある。
誤解を恐れずに言ってしまうとだ。
ホモくせえ。
別に同性愛を否定はしない。
同性愛者の人物が作中にいても別に何も思わない。
が、作品全体から醸し出されるとちょっと……。
特に、千晶が登場してからは酷い。
って言うか夕士がさあ……。
同性の友達が一人もいないのも正直問題だし、こいつ友達作ろうともしてないし。
長谷がいればそれでいい発言とかキモイです

あと、思想の押し付け感がすごい。
登場人物の口を借りて、作者の考えをさもそれが絶対に正しいかのように語らせるのはなんか凄く嫌だ。
それは皮肉にも作者が悪役として設定している、青木先生と同じであるということに気付いているのだろうか。
なんかさあ、お決まりの最近の若いもんは発言とかさあ、それを最近の若いもんである夕士も同じように思っているところとかさあ。
正直ちょっと不快。

それから例によって薄っぺらい展開も。
もう本当ぺらっぺら。
あ、そうとしか思えない。
それと主人公に魅力がないです。

他には、真面目で不器用にしか生きられない人をdisりまくってるのもイラっと来る。
そりゃあ、そういう人が損をしやすい世の中だけどさ。
あー、罪の尺度がおかしい気もするな。
喧嘩よりカンニングの方が罪が思いみたいな感じなんですけど。
アレなの? 不良は格好いい的なアレなの?

とまあ、読みながら不満タラタラだった。
でもとりあえず買った分は読みきった。
きつかったです。


評価:E+


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Edit / 2012.04.25 / Comment: 2 / TrackBack: 1 / PageTop↑
夏休み
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「緩急をつけてアピールすればなんとかなるかも」


第百六十五回
中村航の『夏休み』

僕とユキ、吉田くんと舞子さんの二組の夫婦は、舞子さんとユキの友情によって繋がっていた。
そんなある日、吉田くんが家出してしまう。
それをきっかけに二組の夫婦に破局の危機が迫る。
優しくて、爽やかな夏のお話。

吉田くんと舞子さん再登場である。
二人が好きだった私にとってこれは嬉しい。
吉田君は相変わらす吉田君だった。
舞子さんも同じく舞子さんだった。
そして、僕とユキも魅力的なカップルである。
ユキは少々エキセントリックな女性であるようだ。

吉田くんが特に深い理由もなく家出をしたことにより、僕とユキ、舞子さんも家出をすることになるわけだが、仕事の関係で僕が二人に合流するのが遅れている間に、吉田くんが帰って来る。
そして僕と吉田くんの二人旅が始まる。
この二人のやり取りはなかなか味があっていい。

そして紆余曲折の果て、吉田くんと舞子さんの離婚を賭けて吉田くんとユキが勝負することとなった。
さらに僕と吉田君の密約により、吉田くんと舞子さんが別れたら僕とユキも別れることとなるのだ。
色々おかしい。
しかも勝負内容はスマブラである。
大乱闘スマッシュブラザーズである。
離婚がかかった勝負にスマブラを選ぶユキは、頭のネジが何本か飛んでいる。
それに同意する舞子さんもまた同じだ。

こんな状況だが、全く殺伐としない。
作品の空気は一貫してのんびり穏やかである。

それにしても、他の作品の登場人物が違う作品にも出演するのはいいなあ。
中村航は辻村深月的な感じで、色んな作品がリンクしているのだろうか。
あと、表紙がいいな~。

余談だが、私はスマブラは初代しかやったことがない。
マリオとサムスを主に使っていた。
残念ながらあまり強くはなかった。


評価:A


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Edit / 2012.04.24 / Comment: 4 / TrackBack: 0 / PageTop↑
妖怪アパートの幽雅な日常1~3
カテゴリ: 香月日輪 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百六十四回
香月日輪の『妖怪アパートの幽雅な日常』1~3

稲葉夕士が入居したアパートは、妖怪アパートだった。
除霊士やら幽霊やら色んなものが住むそのアパートでの体験が夕士を変えていく。
また、ひょんなことから魔導書の主になったり、通っている高校の幽霊話を解決したりと大忙し。

まあその何というか、薄い。
本の厚さ的にも薄いし、内容も薄い。
掘り下げればいいところを、特に掘り下げずに流すから、ぺらっぺらの内容になってしまう。
例えば、クリの母親とか、3巻の邪悪な念の中身とかさ。
こうなってこうなって、はい解決しました、という部分しか書いていない感じか。
小説ってその間の部分が大事なんじゃないかと思うのだが。

そして、とてもいいにくいのだが、夕士の親友である長谷が、その、寒いというか痛いというか。
大企業の重役子息で、東大入学が約束された名門進学校(どこだよそれ? 灘か?)に首席入学した裏番、らしい。
さらに、街の不良たちを陰で操り、いずれ彼らを率いて大企業を乗っ取る予定らしい。
ひええ、読んでるこっちが恥ずかしい!
不良を率いてどうやって大企業を乗っ取るんだよ!
しかも、物語の最初は夕士と長谷の殴り合いからスタートするのだ。
いやあ! むずむずする!
え? 何? 拳で語り合っちゃう感じ?
ちょっともう読んでらんない。

人気だって言うから買ったのにな~、と思ったら、産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞らしい。
つまり基本的に児童向けなのか。
現代版『しゃばけ』みたいのを期待していたのだが、筋違いだったか。
でも7巻まで買っちゃった。
どうすんの残りこれ……。


評価:D


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Edit / 2012.04.23 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
神様家族Z
カテゴリ: 桑島由一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百六十三回
桑島由一の『神様家族Z』

神山佐間太郎は神様となった。
しかしまだ仮免である。
大天使となったテンコとともに主に世田谷周辺で活動中である。
未熟な二人の助けとなるために現れたアンジェラも加わり、菊本高校に潜入することとなる。

『神様家族』の続編である。
ノリは相変わらず軽く、バカバカしい。
特にヒロインのテンコの頭のネジが2、3本とんでいるので、基本的に明るく軽いノリで進む。
良くも悪くも読んだ後何も残らない作品なので、神様家族のラストがどんな内容だったのかあまり覚えていないのだが、特に問題はなかった。
でも確かテンコはもっと常識人ポジションだったような。
佐間太郎は逆に成長している感がある。

何も考えずに読めて、あー、面白かったと思える本である。
続きそうな雰囲気だったが、この続きはあるのだろうか。


評価:B


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Edit / 2012.04.21 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
氷菓
カテゴリ: 米澤穂信 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百六十二回
米澤穂信の『氷菓』

何事にも積極的に関わろうとしない、省エネ少年、折木奉太郎が、成り行きで入部した古典部の仲間と、日常のちょっとした謎を解き明かしていく。

けっこう期待して読んだのだが、正直微妙だった。
主人公の一人称で物語が進むのだが、何と言うか、くどい。
回りくどい言い回しが多くて、なんか読みづらい。

結末も別に、ふーん、という以上の感想はなかった。
アニメ化するようだが、大丈夫なのか?
期待していた作家だったのだが、他の作品も読もうかな、どうしようか。


評価:D


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Edit / 2012.04.20 / Comment: 4 / TrackBack: 0 / PageTop↑
三匹のおっさん
カテゴリ: 有川浩 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

そんな場所。すぐ忘れさせてやる。


第百六十一回
有川浩の『三匹のおっさん』

還暦になったくらいでジジイにされてたまるかと、武闘派のキヨ、シゲに、頭脳派のノリの三人が自警団を結成した。
ご近所に潜む様々な悪を退治する三人。
その活動は次第に、キヨの孫、祐希や、ノリの娘、早苗をも巻き込み、影響を与えていく。

作者があとがきで触れているように、現代版時代劇といった感じだ。
なので毎回、危なげなく事件を解決する。
基本ピンチにはならない。
なので、安心して読めるといえばそうだが、先が読めなくてはらはらするということはない。
まあこの辺は一長一短か。
改造スタンガンだの改造モデルガンだの、多少の無茶苦茶はあるが、そのくらいは許容範囲内だろう。

有川浩の作品なので、当然恋愛要素は出てくる。
還暦の男女の微妙な機微なんかも描かれているが、まあやはり私としては祐希と早苗の二人がいい。
いやあ、ニヤニヤさせてくれる。
祐希は一見チャラチャラしてるが、内面はけっこう硬派の男前である。
そして早苗はのんびり屋と言うか何と言うか。
個人的にはこの二人の距離が近づいていく家庭が一番の見所であった。
冒頭で引用したシーンとかたまらんです。

キヨ、シゲ、ノリの三人が、悪を蹴散らすのは痛快だ。
だが、何と言うか少し無敵過ぎないかこの三人は。
まあ時代劇というのはそういうものか。
続編もあるようだ。
文庫化を待つことにしよう。


評価:A


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Edit / 2012.04.19 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
100回泣くこと
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

ずっとずっと続くんだと思っていた。


第百六十回
中村航の『100回泣くこと』

実家で飼っていた愛犬のブックが死にそうだと連絡を受けた僕は、ブックの大好きだったバイクを、彼女と一緒に修理してブックに会いに行くことにした。
そのバイクの修理中に彼女にプロポーズし、一年間結婚の練習をすることになった。
ブックも一命を取り留めた。
しかし――。

以下ネタバレ含む。

さて、まず一つ言いたいのは、裏表紙のあらすじで結末を匂わすのはやめていただきたいということだ。
二転三転するストーリーの一転目を匂わすくらいなら許容範囲だが、基本的にあらすじはネタバレ無しでしょうが。
おかげで彼女が体調を崩した段階でもう、何となく分かってしまったじゃないか。
まあ、ネタバレが興を削ぐタイプの作品ではなかったからまだ良かったけど。

内容としてはまあありがちと言ってしまえばありがちな話だ。
ヒロインが病気で死んでしまうやつだ。
それだけに作者の力量が問われるタイプの話だろう。
中村航は、上手くこの材料を調理出来ているように思う。
だんだんと不安を煽り、最後は予想を裏切りあっさりと締めた。
この締め方が凄く良かった。
ほら、死んだぞ、悲しいだろう、と言わんばかりの感動の押し付けはそこにはない。
しかし、悲しみはしっかりと伝わってくる。
やっぱり、この作者、いいな。
気に入った。

余談だが、少しずつ不安を煽られ、結末を予想させられながら、それを信じたくなくて、でも結局予想したとおりの結末になってしまう、というのは、B'zの名曲をモチーフにした、あるWeb小説を思い出した。
今はもうサイトも閉鎖してしまって、読むことも出来ないのだが、一応ネタバレはしたくないのでタイトルは伏せる。
同じくB'zの名曲をモチーフにした続編もあったのだがこちらは結局未完だったな。
復活しないかな~。
お金がなかった中高時代はよくWeb小説を読んだものだ。
しかし、昔読んで面白かったものも、今では読めなくなっていたりして寂しい。


評価:A


100回泣くこと (小学館文庫)100回泣くこと (小学館文庫)
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Edit / 2012.04.18 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
Another
カテゴリ: 綾辻行人 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

<死者>は、誰――?


第百五十九回
綾辻行人の『Another』

夜見山北中学校三年三組に転校してきた榊原恒一。
しかしそのクラスはどこかがおかしかった。
眼帯の美少女、見崎鳴のことをだれもが、そこに<いないもの>のように扱っているのだ。
まるで自分にしか鳴が見えていないようで困惑する恒一。
そんな中、委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げる。
だがそれは、ほんの始まりに過ぎなかった。

ミステリーの名手、綾辻行人が新たな代表作と自負する作品である。
アニメ化もして、実写映画化の予定もあるようだ。
しかし、映像化した場合、核心となるアレはどうするんだろう?

内容としては「囁き」シリーズと雰囲気の似た超常現象ありきのホラーである。
と、同時にミステリであり青春小説でもある。
しかしまあ、グロいグロい。
傘の先端とか、ひゃーって感じだ。
とはいえ、私もそれなりに色んなグロい作品も読んできている。
まあ割と平気だった。
『殺人鬼』シリーズに比べたらね、こんなもんね。

以下ネタバレ含む。

序盤は、鳴は実在するのかという点で話が進むが、まあ、さすがにあの描写で鳴が幽霊だと思う人は少ないだろう。
そして中盤からは<現象>の謎について、とりわけ紛れ込んだ死者は誰なのか、という所がメインとなる。
<現象>の解決方法、死者を死に還すというのはまあ、何というか、オーソドックスというか、予想はついた内容だった。
ちなみに死者が誰かについては、何とはなしに予想がついていた。
根拠があったわけではない。
完全に勘である。
だが、まさか同一人物だったとは思いもしなかった。
これはしてやられた。
しかし、ヒントはあちこちにばらまかれていた。
後から思えば、違和感があったり、引っかかっていた場所はほとんど伏線だった。
鳥の名前とかモロじゃないか。
じっくり考えれば、あるいは謎を解き明かすこともできたかもしれない。
でも私はそうしなかった。
それはもちろん続きが気になって仕方なかったからだ。
じっくり考えてる暇なんかない。
上下巻一気に読みましたとも。

要するにとても面白かったということだ。
読みやすい文章に、先が気になる展開。
扱っている内容自体はそれほど目新しいものではないように思う。
でもそこはさすが綾辻行人である。
しっかりと読ませてくれる。

ただ、もっと広げることができたのではと少し思った。
何というか、描写されている人物が非常に限られていて、物語の世界が狭い感じがするのだ。
血の通った人物として描かれているのはほとんど恒一と鳴だけである。
後はせいぜい千曳と怜子さんくらいか。
だから人が死んでも、ああ死んだくらいの感想しかない。
最後なんか六人も死んだが、管理人と赤沢以外、それまで名前も出てきていないんじゃないだろうか。
まあさすがにクラス全員の描写は無理だろうが、もう少し色んな人物の描写にページを割いても良かった気がする。
だが、これはある意味、ミステリ作家らしいのかもしれない。
解説でも言われているが、人物ではなく、駒なのだろう。
精緻に組み上げられた物語故か。

さて、作中では、死者を死に還すことで<現象>は止まった。
が、それは根本的解決がなされたわけではなく、あくまで今年度は止まっただけである。
来年度以降はまた<現象>が始まるのだ。
途中までは、<現象>に対する根本的解決が図られるのではと思っていたので、意表を突かれた。
まあ、鳴の目があれば、紛れ込んだ死者を見つけることはできるだろうが。

この<現象>のこれからや、恒一と鳴の今後なんかも作者の中には構想があるようだ。
これは楽しみである。


評価:AA


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Edit / 2012.04.18 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
WILL
カテゴリ: 本多孝好 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

けれど、死者を偽ることだけは私は許せない。


第百五十八回
本多孝好の『WILL』

18歳の時に両親を亡くし、葬儀屋を継いだ森野。
彼女の元に様々な厄介ごとが舞い込む。
葬儀の直後に娘に届けられた、死者の描いた絵。
自分を喪主に葬儀をやり直して欲しいと言い出す女。
老女の元に現われた、夫の生まれ変わりだという少年。
そして、アメリカに行った幼馴染、神田との関係は。

『MOMENT』の続編というか姉妹編というか、まあそんな位置づけの作品である。
『MOMENT』は死を目前にした人間の願いを叶える話だった。
一方『WILL』は、死んだ人間……、少し違うか。
死んだ人間と、その周りの人間の話だ。
いや、それも正確ではないか。
この物語は森野の物語だ。

森野の一人称で物語は進む。
そこで描かれる彼女の内面は、思いのほか柔らかい。
口の悪さから思われるほど捻くれてはいないようだ。
彼女が社長を勤める葬儀店で行った葬儀の後に起こった不思議な揉め事を解決するために森野は奔走することとなる。
そしてその中で、失った両親のこと、かんだとの関係の事を森野は考える。

というか森野が乙女過ぎてやばい。
神田からの電話がかかってくるたびに、従業員を追い出し一人になる所とか。
図太そうなのに、このギャップである。
そして神田との関係は『MOMENT』の頃とは大きく異なっている。
超遠距離だが、恋人、と言っていいと思う。
いや少しこの辺は微妙ではあるのだが。
でもプロポーズらしきことはされている。
そして保留状態というわけだ。
この保留には色んな微妙で繊細な問題がある。

文章の空気が初期の本多孝好に近いと思う。
私はとてもこの雰囲気が好きだ。
桑田なんてとても「っぽい」人物だ。
一見バカだが、根は善人で。
竹井もいいんだよなあ。
森野を見つめる眼差しが優しい。

しかし神田もそうだったが、森野も名探偵である。
森野に持ち込まれた事件の中で、人々は、怒ったり、泣いたり、すれ違ったり、嘘をついたりしながら、最後は収まるべき所へ収まる。
そしてそれは森野も例外ではないのだ。

佐伯杏奈の話が一番好きだ。
もちろんその最後も含めて。
彼女の父親は本当に懐の深く、情の厚い人物だったのだなと思う。

ああ、でも本当にいい雰囲気の作品だった。
あ、後表紙のデザインが凄く好き。
単純な星空だがなんか凄く好きなのである。


評価:AA


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Edit / 2012.04.12 / Comment: 4 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ハーモニー
カテゴリ: 伊藤計劃 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

どこまでが自分の身体なのだろう。どこまでが大気の冷たさなのだろう。
わたしにはもう、その境目がわからなくなっている。


第百五十七回
伊藤計劃の『ハーモニー』
フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞
第30回日本SF大賞受賞
「ベストSF2009」第1位
第40回星雲賞日本長編部門受賞

<大災禍>と呼ばれる世界的な混乱を乗り越え、高度な医療福祉社会となった世界。
その世界はあらゆる病が駆逐され、自らのあらゆる情報を常に開示しあい、互いを気遣いあう理想郷となっていた。
そして、その理想郷に嫌気が差した三人の少女は自殺を試みる。
そこで死に損ねた二人の少女のうちの一人、霧慧トァンは、世界を襲った大混乱の背後に、死んだはずの少女、御冷ミァハを見た。

まず賞の受賞っぷりが凄い。
特にフィリップ・K・ディック賞というのは、日本人SF作家初受賞のようだ。
日本の現代文学が世界的に評価されるというのはあまり聞かない。
凄いことだ。
だが、正直言って私は『虐殺器官』を超えてくることはないだろうと思った。
侮っていた。
そして衝撃を受けた。
あっさり超えてきた。

『ハーモニー』はHTMLのような独特の文体で書かれている。
etmlとなっているがeは憶測だが「emotional」あたりだろうか。
まあこの文体については読めば分かる。
最後まで読むともっと分かる。

さて、内容だが、今作は『虐殺器官』で描かれた世界の未来の話となっている。
<大災禍>とはまず間違いなく『虐殺器官』の最後に主人公の行ったことの結果だろう。
これを乗り越えた世界は、完璧な管理社会となっていた。
それはユートピアでありながらディストピアでもある。

序盤は少し退屈だった。
しかし、第一章(と便宜的に呼ぶ)の終わりに起こった事件から一気に面白くなる。
衝撃過ぎるだろうこれは。
世界中を人質に取ったこの事件を解決するためにトァンは奔走する。
しかしそれは世界のためではなく、あくまで自分の抱える問題のために。

重たく、難しい問題に正面から取り組んでいる。
自分とは何か。
意識とは何か。
魂とは何か。

しかし面白い。
第一章の最後からはもう先が気になって仕方ない。
そして、『虐殺器官』を読んでいる身としては、ラストの想像が大体ついてしまうのだ。
意外な部分もあったが、概ね予想通りだった。
いやはや空恐ろしい結末だ。

作者がすでに故人であることが残念でならない。
後残る長編はメタルギアのノベライズか。
でも4はまだやってないんだよな~。
さすがに原作をやる前にノベライズを読む気はしない。
好きなゲームだし。


評価:AA+


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Edit / 2012.04.09 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
虐殺器官
カテゴリ: 伊藤計劃 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

死者は誰も赦すことができない。


第百五十六回
伊藤計劃の『虐殺器官』

9・11後、徹底的な管理体制に移行し、先進国からテロが消えた代わりに、後進国での内戦や虐殺が急増していた。
そしてその虐殺の裏には、ジョン・ポールという謎の人物の存在があった。
虐殺を行う人物を暗殺する米軍機関の一員であるクラヴィス・シェパードらはジョン・ポールを追うこととなる。
その結果、大量殺戮を引き起こす、虐殺の器官の存在が明らかになっていく。

以前から読みたい読みたいと思っていたのだが、何となく手が出なかった作品だ。
ゼロ年代最高のフィクションとまで謳われる作品だ。
ハードルが上がり過ぎて手が出なかったのだ。
しかし、やっと読むことができた。
いや、凄い。
凄い面白い。

1ページ目からかなりショッキングな内容なのだが、主人公の一人称で綴られる文章は非常に淡々としている。
一人称にもかかわらず、およそ感情と呼べる物が抜け落ちてしまっているかのようだ。
なので、ジョン・ポールと対峙した時の主人公の感情的な様子に違和感を覚えた。
彼はこんなに感情的になれるのかと。
しかしまあ、淡々としているのに非常に引き込まれる。
何と言うか、文章としての完成度が非常に高い、とでも言えばいいのか。
とにかく、面白いのだ。

ジョン・ポールという人物像がいい。
彼は、絶望を見て、世界各地で虐殺の種をばらまきながら、しかし一切狂っていない。
その目的は金でも権力でもない。
純粋ですらあるのだ。
そして、主人公はジョン・ポールと真逆で同じ手段をとる。

主人公は罪を抱え、赦しを求める。
ルツィアという一人の女性に。

いやなんだろう。
上手く説明できないのだが、とにかく面白かった。
情緒的でありながら情緒を排除しているという感じか。

まあとにかく読んでいただきたい。
グロいところはグロいけど、淡々としているせいかあまり精神的にくる感じはない。
また後味が何ともいえないんだなあ。


評価:AA


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Edit / 2012.04.02 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

リンクもトラックバックも昔の記事へのコメントも全部大歓迎です。

2008 11/13(木)開設

評価基準
AAA:凄く凄い
AA:凄い
A:とても面白い
B:面白い
C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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