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あなたがここにいて欲しい
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「俺たち付き合ってるんだよね、ってちょっと言ってみて」


第百五十五回
中村航の『あなたがここにいて欲しい』

三篇が収録された短編集である。
初めて読む作家だったが、これはなかなか。
新規開拓では久しぶりの当たりか。


「あなたがここにいて欲しい」

表題作である。
穏やかで控えめな吉田くんの半生を描く。
音信不通だった親友でヤンキーの又野くん、恋心を寄せる舞子さん。
この二人との交流がメインとなる。

後の二編にもいえることなのだが、いやあ、なんというか徹頭徹尾優しい物語だ。
淡々としていて、ドラマチックな展開はない。
特に波乱もなく恋は成就するし、又野くんともあっさり再会する。
でも惹きつけられるものがある。

にしても舞子さんいい女だなあ。


「男子五編」

一人の男の子が成長していく姿を、5つ(プラス1)の形式で描く。

相変わらず淡々としている。
しかし、少年期~青年期にいたるまでの男の心境が上手く描かれている。
祭り、金魚すくい、カタ抜き、秘密基地、ひばりの巣、サッカー部、バンド等々。
男子はいつだって馬鹿なのだ。

ところで最後に出てきた吉田くんの名前だが、「あなたがここにいて欲しい」と繋がっているのだろうか。
唐突に出てきたからよくわからなかった。


「ハミングライフ」

公園で見つけた猫に餌をやるうちに、同じく猫の世話をしている男性と、木のウロをポストにして手紙のやり取りをする。

いやこれがまた優しい話だ。
二人のやり取りがとても心地良い。
素朴で、何気なくて、温かい。
直接会うことになった際のやり取りがまた何とも間が抜けていて、そこに男女の駆け引きなんてものは存在しない。
何ともまっすぐな二人だ。


いや、本当、三篇全てが優しい。
そこにはおよそ悪意と呼べるものが全くない。
優しさだけで作られた、箱庭のような世界だ。
リアルではない、でも、なんかいい。
そう、なんかいい、というのが相応しいだろう。
凄くいい、とまではいかない、なんかいい。

表題作と「ハミングライフ」が好きだなあ。
表紙もいい。
非常に作品と合っている。

余談だが、何となく文章が森見登美彦を思わせた。
特に表題作。


評価:A


あなたがここにいて欲しい (角川文庫)あなたがここにいて欲しい (角川文庫)
(2010/01/23)
中村 航

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Edit / 2012.03.29 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
狼花 新宿鮫IX
カテゴリ: 大沢在昌 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百五十四回
大沢在昌の『狼花 新宿鮫IX』

大麻所持で逮捕されたナイジェリア人から、大規模な故買マーケットにたどり着いた鮫島。
そのマーケットの背後には鮫島の因縁の相手である仙田の存在があった。
一方鮫島の同期である香田は外国人組織の撲滅のため、西日本を牛耳る暴力団である稜知会と手を組もうとしていた。

さて、大沢在昌の代表作である新宿鮫シリーズの第九弾である。
いやあ、読み応えがある。
何となくこの作者の最近の著書には手が伸びなかった、あるいは読んでもいまひとつだったのだが、さすがに新宿鮫シリーズは違う。
新宿鮫シリーズの前作を読んだのは随分前なので記憶は曖昧だが、今作はシリーズ屈指の完成度といえるのではないだろうか。

今作では鮫島の宿敵、仙田の本名や正体がとうとう明らかになる。
意外といえば意外だが、納得といえば納得の正体だった。
さらに、仙田、そして度々対立を繰り返してきた香田との決着もつく。

本当にぐいぐい読ませてくれる。
二転三転する状況。
先の読めない展開。
そして緊迫のラスト。
これはもう面白い、というしかない。

それにしても、巻を重ねるごとに恋人の晶との関係が悪化しているように思える。
というか出番が減っている。
仙田と香田との決着もつき、シリーズを畳みにかかっているのだろうか。
ひょっとして今出ている最新作の『絆回廊』が最終作だったりするんだろうか。
十巻でキリがいいし。
そろそろ警察上層部にとっては爆弾となる自殺した同期の遺書の内容についても触れてほしい所だ。
文庫化が待ち遠しい。


評価:AA


狼花―新宿鮫〈9〉 (光文社文庫)狼花―新宿鮫〈9〉 (光文社文庫)
(2010/01/13)
大沢 在昌

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Edit / 2012.03.25 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
小説・震災後
カテゴリ: 福井晴敏 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

人間はいつだって"結果"を生きているのではなく、"過程"を生きているのだから


第百五十三回
福井晴敏の『小説・震災後』

2011年3月11日、日本を震撼させた未曾有の大地震、東日本大震災。
それを境に多くの人の人生が変わったように、平凡なサラリーマンであった野田圭介の人生もまた、変わった。
傷ついた心、原発事故、震災後の日本人の姿、そして未来。
祖父・父・息子の三代を通してそれらを描き出す。

まず野田と言う名字に引っかかる。
私は確かにこの名前を知っている。
福井晴敏ファンなら思い当たる人物がいるであろう。
無論、今の首相ではない。
さらに、もう一人嬉しい人物が出てくる。
成る程、やはり福井晴敏は一貫して一つの繋がった世界を描いてるのだな。
ファンからしたらこういうのはやっぱり嬉しい。
しかしふと思ったのだが、『Op.ローズダスト』の事件はどうなっているのか。
確かお台場が凄いことになったはずだが、作中では特に触れられていない。
ローズダストの年代設定はいつだったか。

他の福井作品を読んでおくと野田の父親の台詞の持つ重みが違ってくる。
ああ、あの事を言っているのだな、とか、台詞の裏に隠された意味がわかって、また以前の作品を読み返したくなる。

「脱原発」という言葉に、どこか違和感というか、無責任さのようなものを感じていた。
だって原発を全部止めたら、電力が足りないのだろう?
ただでさえ不況なのに企業の活動を制限してまで節電してしまっては不景気に拍車がかかるではないか。
代替として語られる、クリーンなエネルギーとやらはまだ実用の段階には達していない。
今作を読んで、これらのもやもやした気持ちに少し整理がついた。
そうだ、「脱原発」という言葉は、「反戦」という言葉によく似ている。
どこか上滑りする綺麗事。
そう、「あの戦争」が残したのが、戦争は悲惨だという馬鹿でも分かる教訓だけではないはずであるように、原発事故から我々が学ぶべきは、原発は危険だという馬鹿でも分かる事実だけではないはずだ。

節電、エコ、脱原発。念仏みたいに唱えてりゃ、それで未来への責任を果たせるなんてことは金輪際ありません。

しかし、野田の父親は「脱原発」と「反戦」を同じ棚においてはならないと言う。
「脱原発」はいずれ為されなければならないことだ。
ただそれは今すぐではなく、「未来」の話だ。

相変わらず根底を流れるテーマはぶれない。
そして人物に血を通わせるのがやはり上手い。
PTA会長の描き方が良いと思う。
この手の人物は、ただのヒステリックなおばさんとして描かれることが多い。
今作でも途中までそうだったのだが、いやあ、福井晴敏はきちんと一人の人間として描くのだな。

許されないのは、不可能な綺麗事を可能だと信じる人間ではなく、不可能だと薄々気付いていながら綺麗事だけを唱える人間だ。

色々と心を揺さぶられる作品だ。
福井作品のテーマが収斂されていると言って良いだろう。
大量破壊兵器も特殊工作員も出てこない。
それでも、これは紛れもなく福井晴敏の作品だと言える。
是非、多くの人に読んでいただきたい。
この国で生きている人間全員が、無関係ではありえないのだから。
あ、でもその前に既存の作品を読んだ方が物語の深みが増すので、そうする事をお勧めする。
いやもちろん単体で完成された作品ではあるのだが。


評価:AA+


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(2012/03/06)
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Edit / 2012.03.19 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
人造救世主
カテゴリ: 小林泰三 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百五十二回
小林泰三の『人造救世主』

奈良の寺院に観光に来ていたひとみとジーン。
悪戯心から拝観時間を過ぎても寺の中に隠れていた二人は驚くべきものを目にする。
超能力を操る謎の集団が現われ、建物を破壊し始めたのだ。
その集団はひとみ達にも襲いかかるが、ヴォルフと言う謎の男に二人は助けられる。
MESSIAHを名乗る集団の目的は人類の支配、そのための超人の創造だ。
超人は歴史上の偉人のクローンに、聖人の遺伝子を注入したもので、ヴォルフはその失敗作であった。

まあシリーズ物の第一弾らしいので、あまり何とも言えないが、何だかな~、と言う感じだ。
こういう設定は好きなのだが、何というか、会話に違和感があるというか。
ストーリーを進めるために無理やり会話させている感じがする。
あと、キャラクターにいまひとつ魅力がないな~。
その辺はこれから掘り下げていくのかもしれないが。
グロいのも控えめだし、いまひとつ盛り上がりにかける。

ヴォルフがヒトラーのクローンだと言うのは斬新だと感じた。
しかも超能力を持たない失敗作である。
当たれば一撃必殺のロンギヌスの槍があるとはいえ、MESSIAHには時を止めれるらしい超能力者までいるのに、どう対抗するのだろうか。
だが、手持ちの武器と機転で戦っていくと言うのはけっこう好きだ。

MESSIAHの言う所の閣下、超人たちに注入された遺伝子の持ち主と言うのはまあキリストだろう。
超人たちがロンギヌスの槍に弱い所からも間違いないと思われる。
と思ったが、閣下とやらと、超人に注入された遺伝子の持ち主は別人のようだ。
その閣下に力を発現させるために、今度はブッダの遺伝子を必要としているのだろう。
閣下とはMESSIAHのトップ? 最も純粋な血とは?
まあまだ考える材料もないか。

しかし、遺伝子が重要な意味を持つこの作品で、ジーンと言う名前はいかにも意味深だな。
何か意味があるのだろうか。

それにしても序盤の敵に織田信長にアインシュタイン、北条政子と序盤から大判振舞いだ。
まあ有名な偉人は枚挙に暇ないし、今後ネタ切れするということもないか。

表紙の人物が誰なのかが謎だなあ。
葵だろうか。

続編はもう出ているのだろうか。
まあ買うとしても中古かな~。
新品で欲しいと思えるほど面白くはなかった。


評価:C


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(2010/08/25)
小林 泰三

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Edit / 2012.03.09 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
阿修羅ガール
カテゴリ: 舞城王太郎 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。


第百五十一回
舞城王太郎の『阿修羅ガール』
三島由紀夫賞受賞作。

主人公、アイコが好きでもない男とやっちゃったり、金田陽治への恋心を抱えている間に、調布の町は大変なことになっていた。
三つ子を殺したグルグル魔人はいるわ、アイコがやっちゃった佐野は誘拐されるわ、中学生狩りのアルマゲドンは勃発するわで大混乱である。

感想を一言で言えば、よくわからない、である。
前から気になっていた作家で、何だか珍妙そうなものを書いているようだとの認識はあったのだが、予想以上に珍妙だった。
本当によくわからないので、感想も上手く書けない。
あと巻末に収録されている短編だが、本編のスピンオフらしいけど・・・・・・、どのへんが?
川を挟んであっちこっちって辺りかな。
まあテーマ的なものが共通していると言うのはなんとなくわかるが、本編の登場人物の誰かにスポットを当てたという訳ではなさそうだし。
ん~、全体的によくわからない!

この作家では『好き好き大好き超愛してる。』が気になっている。
タイトルが印象的過ぎる。
そのうち読もう。


評価:C


阿修羅ガール (新潮文庫)阿修羅ガール (新潮文庫)
(2005/04)
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Edit / 2012.03.04 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

リンクもトラックバックも昔の記事へのコメントも全部大歓迎です。

2008 11/13(木)開設

評価基準
AAA:凄く凄い
AA:凄い
A:とても面白い
B:面白い
C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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