スポンサーサイト
カテゴリ: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Edit / --.--.-- / Com: - / TrackBack: - / PageTop↑
シアター!2
カテゴリ: 有川浩 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「報われなくて諦めるならとっくの昔に諦めてます」


第百三十回
有川浩の『シアター!2』

二年間で三百万円の借金を返すこと。
それが小劇団、シアターフラッグ存続の条件である。
借金返済のために動き出したメンバーに様々な危機が襲いかかる。

『シアター!』の続編である。
『シアター!』を読んで物足りなさを感じたが、今作を読んで納得した。
あれは長いプロローグにすぎなかったのだと。
前作ではほとんど触れられていなかったキャラクターにもスポットが当てられ、前作で触れられていたキャラクター達はもっと掘り下げられる。
さらに、恋の香りもあちこちに。
切なかったり、にやにやしたり。

まず石丸が切ない。
まるっきり完全に見込みのない片思い。
そしてそのことにとうとう気付いてしまった(いささか遅すぎるが)時。
精一杯の強がりが悲しい。

そして攻めきった牧子だ。
いやほんと攻めきったな。
その後上機嫌なところとか可愛いらしい。
巧のリアクションが戸惑った感じってことは、巧は自分が千歳に惹かれていることに気付いていないのか。
司に相談するくらいだし気付いていないのだろう。

巧をたらし呼ばわりの、司だが自分だって立派なたらしである。
酔った勢いで千歳に電話しておいて、そのうえこのセリフだ。

「声だけで俺を救っちゃうんだな」

そして鈍い。
千歳にはなつかれてる程度にしか思っていない。
これはやはり血か?
司にも父親の血が流れているということか。
というか男性陣が軒並み鈍い。

さて、次作で完結とのことなのでどんな結末を迎えるか非常に楽しみだ。
個人的には牧子には幸せになってほしいな~。
一気に物語が転がりだして面白くなった第二巻。
完結編に期待。


評価:AA


シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)
(2011/01/25)
有川 浩

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
Edit / 2011.06.28 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
恋文の技術
カテゴリ: 森見登美彦 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「ああ、おっぱい万歳」


第百二十九回
森見登美彦の『恋文の技術』

京都の大学院から遠く離れた能登の研究所に飛ばされた院生、守田一郎。
いかなる女性も手紙一本で籠絡できる技術を身につけるため、文通修行と称して手紙を送りまくる。
友人の恋の相談に乗り、先輩に媚びへつらいながら反逆し、作家森見登美彦(!)の愚痴を聞く。
果たして彼は恋文の技術を確立することはできるのか?

今作は森見登美彦お得意の駄目学生が書いた手紙をまとめた、書簡体小説となっている。
主人公の守田は5人の人間と手紙のやり取りをするが、本当に思いを届けたい相手へはなかなか手紙を書けないでいる。
このへたれ具合は、今までの森見作品の主人公たち同様だ。
微笑ましくも切ない。

そして、おっぱいである。
いや、私は真面目だ、ふざけてはいない。
だっておっぱいなのである。
守田は、友人の小松崎とおっぱいについて激論を交わす。
「方法的おっぱい懐疑」や「おっぱい拡大化」などの言葉が飛び交う。
繰り返すが私は真面目である。
ふざけてはいない。
おっぱいという単語の登場回数は三桁を超えるだろう。
そして、「おっぱい拡大化」(プロジェクターで桃色映像資料のおっぱいを拡大して投影すること)の最中に悲劇は起こった。
おっぱいとの戦いに敗れ「おっぱい万歳」と呟いているところを、実の妹と想い人に目撃されたのだ。
これはきつい(笑)
それにしてもこれだけおっぱいという言葉が出てくる小説もなかなかないだろう。
おっぱいいっぱい。
申し訳ない、私は真面目でもなく、ふざけていました。
多分森見登美彦は真面目にふざけていたのだろう。
彼の作品にはそういう所が散見されるように思う。

そういえば、『有頂天家族』に登場した「金曜倶楽部」と思われる面々が登場する。
こういう作品間のリンクも森見作品の楽しみである。
作中の森見登美彦は、守田の手紙からアイディアをパクって『夜は短し歩けよ乙女』に反映させていたりしている。

表紙とタイトルから想像されるような甘い恋の小説ではない。
恋の小説ではあるのだが。
だが非常に面白い小説であった。
後書きも味があっていい。


評価:AA


恋文の技術 (ポプラ文庫)恋文の技術 (ポプラ文庫)
(2011/04/06)
森見 登美彦

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.25 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
とらドラ!
カテゴリ: アニメ / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「「そういうふうに、できている」」


アニメ感想第七回
『とらドラ!』

ガンダム以外のアニメはあまり見ない。
深夜アニメとなればなおさらだ。
そんな私がこのアニメを見るに至ったには理由がある。
一言でいえば、青春物が見たり読んだりしたくなったのだ。
それもがっつり恋愛している青春物が。
これは私に定期的に訪れる病気のようなものである。
そこで色々ググって調べた結果、『とらドラ!』にたどり着いたのだ。
そしてしばらくTHUTAYAに通ってちょっとずつ見た。
結果、うん、凄く満足した。

物語は、主人公高須竜児とヒロイン逢坂大河を中心に繰り広げられる人間模様を描いている。
その目つきの悪さから、不良と誤解されることの多い竜児は大河の友人のみのりに片思いをしており、その狂暴な性格と小柄な体格から「手乗りタイガー」の異名を持つ大河は竜児の友人の北村に片思いをしている。
大河のドジからお互いそのことを知った二人は、恋の共同戦線を張ることとなった。
竜虎相並ぶこととなった訳だ。

「俺は竜になる」

確かこんなセリフがあったはず。
この辺は熱かった。
2話だったかな?
しかもこのやり取りが最終話にも絡んでくるのがいい。

それからしばらくはこの4人と北村の幼馴染の現役モデル、あみや他のクラスメイトを加えての青春模様が描かれる。
そこに大河の複雑な家庭環境(竜児も母子家庭でそれなりに複雑だが、母、やっちゃんこと泰子の明るさというか幼さ?がそれをあまり感じさせない)が絡んできたりして物語を盛り上げる。
文化祭なんて青春物の定番だ。
大河の父親のくだりはなかなか残酷である。
諦めたような大河が痛々しかった。

文化祭が終わったあたりから、少しずつ物語に暗雲が立ち込めてくる。
具体的に言うと、明るかったみのりが暗くなる。
思えばみのりには最初から最後まで全く共感できなかったな。
腹黒なあみの方がよっぽど好感が持てた。

そしてクリスマス以降は怒涛の展開だ。
本当はつらいのに明るくふるまう大河が切ない。
自分から離れていくだろう竜児を思って泣く大河が切ない。
それを目撃したこともあるだろうが、告白もさせないみのりは卑怯だと思うな~。
竜児も何でこんな奴を好きになったんだか不思議である。
まあみのりが好きだと言いながら内心大河に惹かれていった二股野郎なのであるが(笑)
この辺、自覚したのは大河の方が大分先だったようだ。
いや、竜児も自覚はしていたのかもしれない。
ただみのりへの想いに決着をつけないと先には進めないと思っていたのだろう。
いや、やっぱないか(笑)

クリスマスパーティーの挿入歌は良かったな。
歌といえば最初のオープニングが好きだ。

そして修学旅行でついに竜児は大河の想いを知ってしまう。
竜児と北村を間違えたってのは少し強引だがあのシーンは好きだ。
絞り出すように想いを吐き出した大河。
い~な~。
青春だな~。

そして進路のことで悩む竜児。
竜児に進学してほしい泰子と、泰子にこれ以上負担をかけたくないから就職を希望する竜児。
そのために仕事を増やし、倒れてしまう泰子。
そのことに責任を感じ、ますます頑なに就職を希望する竜児。
この辺りも青春の悩みだ。
押しつけがましく感じても、勝手に感じてもそれは確かに愛情なんだよな~。

そして怒涛のラストへとなだれ込む。
バレンタインにいつもの面々へとチョコを渡す大河。
しかしその場で修学旅行の時の話となり、竜児と北村が二人で隠していることを知らなかったみのりが問い詰める。
しかし、自分の気持ちと向き合えず逃げ出してしまう大河。
追うみのりと竜児。
そこでみのりは竜児が好きだという自分の気持ちをぶちまける。
もう竜児の気持ちが大河を向いていることを確信してだ。
結局みのりも自分の気持ちと向き合うことからビビってたのかな。
口ではああ言ってたけど。

その点あみはつらい役回りだ。
結局最後まで竜児に自分の想いは気付いてもらえずで。
切ないキャラなんだよな~、あみは。

逃げはしたが、倒れた泰子の穴埋めのバイトには出てきた大河。
そこで待っていた竜児。
バイトが終わったら話したいことがあるからという大河。
これはとうとうかと思いきやそこに現れたのは、二人の母親だった。
そこで語られる大人の都合に竜児は初めて泰子に反抗する。
そしてその場から逃げ出し、選んだ道は、駆け落ちだ。
また極端から極端へ行く二人だ。
しかし青春とは突っ走るものなのだ。

しかし、竜児がいったん家に帰ると泰子の方が逃げ出していた。
そして大河との逃避行が始まると思いきや、竜児は一度選択した駆け落ちという「逃げ」をよしとせず、一計を案じる。
ここからが密度の濃い最終回である。
今さらだがネタばれ満載なので気をつけていただきたい。
竜児の一計の結果実家へとおびき出された泰子は、両親と和解する。
この泰子と泰子と母親のやり取りはぐっと胸にくる。
その後の竜児と泰子のやり取りもいい。

そしてキスシーンだ。
何というか初々しくかつ非常に色っぽくて、見てるこっちが赤面ものである。
ニヤニヤしてしまってしょうがない。
大河はいわゆるツンデレキャラだが、ツンの割合が非常に高い。
その分最終話で一気にデレが爆発してやばい。
ニヤニヤがやばい。

泰子と共に家へ帰った竜児と大河。
竜児の家で夕飯を取るように誘われる大河だが、いったん着替えてくると言ったきり、戻ることはなかった。
大河の部屋には置手紙があり、そこには大河の決意が記されていた。
そしてそのまま大河は母の元へ行き、転校することとなった。

そして時は経ち卒業式。
竜児は教室になびく髪の毛を見つける。
駆けつけ、隠れた大河を見つけ気持ちを伝える竜児。
その時の大河の表情が殺人的に可愛い。
最後までニヤニヤさせてくれる。
1話の最初のモノローグと最終回の最後のモノローグをかぶせてくる展開がいい。
絶妙な余韻を残してくれるいいラストだ。

いや~面白かった。
青春、恋愛、家族愛、友情、色んなものを描いた傑作だと思う。
漫画的な表現も多く、突っ込み所も多いが、大して気にならない。
私の青春物見たい願望を十分に満たしてくれた。
最終回は何度も見てしまった。

頑なで、頭でっかちで、それでいて考えなしで、ぶつかって転んでそれでも熱に任せて突っ走る。
まさに青春だ。

他に青春物といえばこれ! というものがあればぜひぜひ教えていただきたい。
小説、漫画、アニメ等、ジャンルは問わない。
またいつ発作が起こるか分からないので(笑)


評価:AAA


とらドラ! Scene1 (通常版) [DVD]とらドラ! Scene1 (通常版) [DVD]
(2009/01/21)
釘宮理恵、間島淳司 他

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.19 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ZOO2
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十八回
乙一の『ZOO2』

六編が収録されているが『ZOO1』に比べると見劣りする感は否めない。

だが、最後の「むかし夕日の公園で」はその中でもきらりと光る。
よくもまあの短さの中で、ぞっとさせ、そのうえ予想を裏切ってみせてくれたものだ。

「落ちる飛行機の中で」はアイディアは凄いと思った。
が、尻すぼみな感じがした。
最後は少し切ないか。

他は、う~ん。
「神の言葉」は『僕のメジャースプーン』を思い起こさせられた。
後味の悪さは比じゃないが。

ん~、やっぱり「ZOO1」がすごかった分、少し拍子抜けしてしまった部分はある。
つまらなくはなかったが。


評価:B


ZOO 2 (集英社文庫)ZOO 2 (集英社文庫)
(2006/05/19)
乙一

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.18 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ZOO1
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 中から、姉の笑い声が聞こえた。高く、劈くような声だった。


第百二十七回
乙一の『ZOO1』

ジャンル分け不能の短編集『ZOO』から、映画化された五編を収録した一冊。
いや、これは凄い。
天才と呼ばれる訳だ。
初めて読んだのは随分前だが、今回再読して改めてそう思った。


「カザリとヨーコ」
同じ容姿を持つ双子の姉妹、カザリとヨーコ。
しかし姉のヨーコだけが、母親から虐待を受ける。

しょっぱなから飛ばしている。
母親から虐待を受け、妹からも侮蔑の目で見られ、それでも妹のカザリを愛するヨーコ。
この時点で十分に歪んでいるのに、これがヨーコ視点の一人称だと言うのがやばい。
ヨーコの軽妙な語り口と、実際に起こっていることとのギャップがもうね。
そして乙一はヨーコに救いの手を伸ばし、持ち上げてから、その手を引っ込め、落とすのだ。
これがまたえげつない。
そして全く救いのないラスト。
にもかかわらず明るいヨーコ。
もうほんとやばい。


「SEVEN ROOMS」
謎の殺人鬼に拉致監禁された姉弟。
脱出することはできるのか。

「1」、「2」を合わせてもこれが『ZOO』の中でベストだろう。
直接的にスプラッターな話だが、そこはそんなに問題ではない。
何といっても圧巻のラストだ。
犯人の正体も明らかにはならないのに、裏をかかれたという訳でもなく、予想できるラストなのにこの衝撃。
そして凄まじい後味。
いやはや、これはすごい。


「SO-far そ・ふぁー」
ある日突然、父は母を、母は父を認識しなくなった。
お互い、相手は列車事故で死んだものだとぼくに話す。

これはタイトルが上手い。
そして精神的にえげつない話だ。
ラストが切なく、悲しすぎる。


「陽だまりの詩」
人間が死に絶えた世界で作られたアンドロイドである私。
私を作った彼を看取り、埋葬するのが存在理由である。

ここでやっとえげつなくない話。
オチは割と早い段階から予想できた。
儚く、美しい世界観が好きだ。


「ZOO」
今日も俺のかつての恋人の死体の写真が郵便受けに入れられていた。
しかし、これを入れている人物は……。

表題作。
自分が殺したのに犯人を探し続ける演技をする俺。
自首する勇気、正確には自分が彼女を殺したことを認める勇気が持てず毎日演技を繰り返す。
これまた歪んだ話だ。


全体のレベルが極めて高く、天才、乙一の最高傑作の一つと言えるのではないだろうか。


評価:AA+


ZOO 1 (集英社文庫)ZOO 1 (集英社文庫)
(2006/05/19)
乙一

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村

Edit / 2011.06.18 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
さまよう刃
カテゴリ: 東野圭吾 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十六回
東野圭吾の『さまよう刃』

花火大会の夜に全ては起こった。
長峰の一人娘、絵摩は未成年の男たちに蹂躙され、後に死体で発見される。
密告電話によって犯人を知った長峰は、娘の復讐を始めた。
一人を殺し、もう一人を追って逃走する長峰。
世論をも巻き込んだこの事件の結末とは。

少年法の抱える問題に真っ向から挑んだ作品だ。
未成年は罪を犯しても刑事処分を受けることはほとんどなく、更生のための措置が取られることが多い。
だが、更生の余地のない人間というものは確かに存在する。
正義とは何か、裁くのは誰なのか。

犯人の外道振りがこれでもかと強調され、読者は長峰が復讐を果たすことを望みながら読むこととなるだろう。
私もそうだったが、その一方で恐らく復讐が果たされることはないだろうと思いながら読んだ。
そして作者がこの難しい問題にどんな答えを用意しているのかを楽しみにしていた。
が、このラストか。
う~ん、釈然としない。
作者として何らかの答えを出すべきだったんじゃないか。
いや、結局現行法に委ねると言うのが東野圭吾の解答ということなのか。
それは多分違うだろうし……。
もやもやする。
あるいはこのもやもやが解答か。
だが、この問題を取り上げた以上やっぱりはっきりした解答が見たかった。

東野圭吾は初期のものしか読んだことがなく、何というか私にはあんまり響かないイメージがあった。
比較的最近のものは初めて読んだのだが、何かえらそうだが、まあまあといったところか。
つまらなくはないけど、手放しで称賛できるほどではないというか。
まあ他のもいくつか読んでみようと思う。


評価:B-


さまよう刃 (角川文庫)さまよう刃 (角川文庫)
(2008/05/24)
東野 圭吾

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.16 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
レインツリーの国
カテゴリ: 有川浩 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十五回
有川浩の『レインツリーの国』

「忘れられない本」をきっかけに始まったメールのやり取り。
伸行はメールのやり取りだけでは物足りなくなり、ひとみに会いたいということを申し出る。
しかし、頑なに会うことを拒むひとみ。
その理由はひとみが聴覚に障害を持っているからだった。

聴覚障害と正面から向き合って書かれた作品だと思う。
伸行とひとみを物分かりのいい「キレイな人」として描いておらず、汚い部分もあるリアルな人物として描いていることからもそれがわかる。
ただ綺麗事だけでは駄目なのだと。

それを踏まえた上で、正直な感想を言えば、物足りなかった。
もっと二人の物語が読みたかった。
コンパクトすぎるというか。
まだ語られるべき部分が残っているんじゃないかと感じた。

また、甘さ控えめなのもいただけない。
有川浩の作品だからと期待して読んだのに肩透かしを食らった気分だ。
もっとべったべたに甘いのが読みたかった。

物語の入り方は好きだ。
「忘れられない本」から始まる二人の物語。
これは非常に素敵な出会い方だ。
自分が読んで面白かった小説を他の人はどう思ったか、語り合いたいという願望は私にもある。
それが高じてこんなブログをやっている訳だし。
面白いと思った作品や作家がボロボロにけなされていたりするとがっかりしたりもするが、自分と似たような感想を持った人を見つけると嬉しくなる。

面白くなくはなかったんだけどやっぱり物足りなかった。
長さも短いし。


評価:B


レインツリーの国 (新潮文庫 あ 62-1)レインツリーの国 (新潮文庫 あ 62-1)
(2009/06/27)
有川 浩

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.10 / Comment: 12 / TrackBack: 2 / PageTop↑
暗黒童話
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十四回
乙一の『暗黒童話』

突然の不幸な事故で左眼と記憶を失った「私」。
やがて交通事故で死んだ男性から眼球の提供を受けた。
するとその左眼は元の持ち主がその眼で見てきた記憶を再生し始めた。
その映像から提供者の名前が冬月和弥だと知った「私」は和弥が生前暮らしていた街へと赴く。
そこで待ち構えているものも知らずに……。

乙一の初長編だ。
騙されまいと思って読んで、見事騙されずに一点読みで犯人を当てられた。
序盤からこいつくさいな~、と思いながら二人で館へ行った時に確信した。
ちょっと気持ちよかった。
が、騙してほしかったという気持ちもある。

ぐろい所はきちんとぐろい。
三木の能力に特に説明はない。
ただそういう能力があるからある、という態だ。
そして三木はその能力をぐろい方向にフルに使う。

全体的に淡々としていて、悪くいえば小さくまとまってる感がある。
上から目線だと、まあ、及第点は越えてるかなという印象。


評価:B-


暗黒童話 (集英社文庫)暗黒童話 (集英社文庫)
(2004/05/20)
乙一

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.07 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
蠅の王
カテゴリ: ウィリアム・ゴールディング / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十三回
ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』

核戦争が勃発し、子どもたちを疎開させている途中の飛行機が無人島に不時着した。
そこには食べ物も豊富にあり、子どもたちは秩序を作り、上手くやっていた。
しかし次第にその秩序に亀裂が走り……。

五十年くらい前の名作と呼ばれる作品に手を出してみた。
だけどやっぱり今一つ楽しめなかった。
やっぱり海外の小説は私には合わないのかな~。
何というか台詞なんかに独特のくどさのようなものを感じる。

さて内容だが、まず上で書いたようにくどさを感じた。

「ほら貝は、ぼくがもっているんだぞ!」

この台詞を何回言うつもりだ。

また総じて登場人物たちがヒステリックで情緒不安定だということだ。
ある種の極限状態に置かれているのだから当たり前かもしれないが、まだうまくいっている時でもそうだ。
食料も水も確保できているのだから、最初からそこまで情緒不安定にならなくてもいいと思うのだが。
言ってることとやってることが支離滅裂で読んでいて混乱する。
もうちょっと冷静でもいいと思う。

ラストもしりすぼみで終わってしまう。
これでは消化不良だ。
また消えた少年はどこに行ったのか。
彼の見た蛇のようなものはいったい何だったのか。
結局夢か幻覚ってことでいいのか。
海がどうこうってのも蜃気楼ってことなのか。

「蠅の王」というのは人間の中に潜む悪意のようなもののことだろう。
つまりサイモンの聞いた声は彼の中の悪意ということだ。
この小説は性悪説の立場に立った小説なのだろう。

総じて読みにくさを感じた。
物語としてもあまり魅力的とは言えないように思う。
正直少し、退屈だった。


評価:D


蝿の王 (集英社文庫 コ 1ー1)蝿の王 (集英社文庫 コ 1ー1)
(1978/01)
ウィリアム・ゴールディング、平井 正穂 他

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村
Edit / 2011.06.03 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

リンクもトラックバックも昔の記事へのコメントも全部大歓迎です。

2008 11/13(木)開設

評価基準
AAA:凄く凄い
AA:凄い
A:とても面白い
B:面白い
C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
ランキング

にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
クリックしていただけると嬉しいです。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。