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メタルギアソリッド
カテゴリ: レイモンド・ベンソン / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百十六回
レイモンド・ベンソンの『メタルギアソリッド』

アラスカの核廃棄施設で次世代特殊部隊フォックスハウンドが武装蜂起した。
そして、フォックスハウンドの元隊員にして伝説の男、ソリッド・スネークに単独潜入の任務が下る。
武装蜂起の首謀者でスネークと同じコードネームを持つ男、リキッド・スネークとはいったい何者か。
スネークは核発射を阻止することができるのか。

名作ゲーム、『メタルギアソリッド』のノベライズ版である。
ゲームはかなりやりこんだものだ。
ステルス迷彩を求めて何周もした。

内容はかなり原作に忠実で、ゲームをプレイした人ならどんな場面かを鮮明に思い出すことができるだろう。
ゲーム未プレイの人が読んでももちろん楽しめると思う。
ただいくつかいただけない点がある。
「スネークは得意のパンチ・パンチ・キックを繰り出した」などの表現が地の文で多発することだ。
確かにゲームでもスネークはそういう攻撃を繰り出すのだが、そんな書き方をしなくても「ワンツーとキックのコンビネーション」でいいではないか。
また、これは訳者の責任だろうが、スネークの性格が何と言うか、軽すぎる。
言葉づかいも原作よりもフランクというかなんというか。
渋さがないのだ。
作者はゲームをプレイしていると思われるが、訳者はプレイしていないのではないか。
どうもそんな感じがする。
原作に対する思い入れが強いだけにそのあたりが気になった。

まあ、ノベライズとしてはそこそこの出来なのではないか。


評価:C



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(2008/05/24)
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Edit / 2011.04.26 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
海の底
カテゴリ: 有川浩 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「……そんでも、あの子が死んで艦長が助かったらよかったって思う俺は、ひどいか」


第百十五回
有川浩の『海の底』

読んだのは随分以前だが、今回読みなおしたくなって再読した。

桜祭りで開放された米軍横須賀基地を突如、赤い巨大な甲殻類の群れが襲った。
それらは基地を蹂躙し、人間を食べていた。
海上自衛官の実習幹部である夏木と冬原は逃げ遅れた子供たちとともに潜水艦「きりしお」に立てこもった。
その際に「きりしお」の艦長が犠牲となる。
そして、どこか歪んだ子どもたちと二人の長い篭城生活が始まる。
一方陸上では、「警備の神様」と呼ばれる明石の指揮の元、機動隊が甲殻類、通称レガリスを食い止めていた。
自衛隊の戦力があればレガリスの掃討は容易だが、自衛隊は災害出動しか認められていないため武器を使うことができない。
そんな中、米軍の市街地爆撃というタイムリミットが刻々と迫る。

再読だが、いやあ、面白かった。
陸上での息詰まる駆け引き。
「きりしお」内での夏木と望の中学生みたいな不器用な恋。
この人は本当に恋愛を書くのが上手い。
それでも今作は自衛隊三部作の中では一番恋愛要素が薄い作品だろう。
それでこれなんだから参ってしまう。
夏木の不器用さにこっちがやきもきする。

陸上での主人公であるところの明石だが。
彼は始めから事態が警察の対処能力を越えていることを理解し、いかに自衛隊にバトンを渡すかを考えて行動する。
そして今回の事態の責任者である、烏丸参事官だ。
彼は明石の有能さを一目で見抜き、自分の右腕に据えて作戦の遂行に当たった。
考えるところは明石と同じ、いかに自衛隊を動かすか、である。
そして、機動隊はそのために、敗走のための敗走を強いられる。
事態がもはや警察の手に負えないことを知らしめるためである。
この辺りのやり取りはかなり熱い。

「これが機動隊への最後の命令となる」
 烏丸が初手から吹いた。
「死んでこい」

「恥をかくために恥をかけ、無体な命令であることは承知の上だ。しかし横須賀を守るために、日本を国辱から救うために必要な恥だ。早急に自衛隊の投入を決定させるためには官邸に警察の完全な敗北を見せつけるしかない」

そう言って機動隊長たちに頭を下げる烏丸。
熱い展開ではないか。
そして機動隊は潰走し、自衛隊の出動となる。
それまで長い間レガリスに圧倒されていただけあって、自衛隊が圧倒的火力でレガリスを蹴散らすシーンは爽快だ。

さて、陸上のことばかり言ってきたが、物語のほとんどは「きりしお」内で進む。
子どもたちが歪んでいると書いたが、実際に歪んでいるのは圭介だけで、その歪みが伝搬している言うのが正しいだろう。
このマザコン圭介がまた小憎らしく描かれていて、読んでいてイライラさせられる。
圭介が、トラブルメイカーとなって色々と問題を引き起こすのだが、それもまたイライラものだ。
大体好きな子に意地悪していいのは小学生までだろう。
中三にもなって、それもあれだけ悪質なのはすごい。
マザコン恐るべしである。

「初めてになりましたよね?」

夏木と望の別れと再会のシーンはベタだがいい。
むしろベタだからこそいい。
締め方も余韻があっていい。

収録されている番外編は、夏木と冬原の悪ノリを、作者が悪ノリして書いたようなそんな内容だ。
短いが結構面白い。

いやあ面白かった。
読み返したいと思える作品というのは少ない。
『海の底』はその数少ない作品の一つだ。


評価:AA+


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(2009/04/25)
有川 浩

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Edit / 2011.04.17 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
僕たちの終末
カテゴリ: 機本伸司 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

これでもまだごちゃごちゃ抜かす奴は、できもしないワープエンジンで銀河系の果てまで飛んで行け!


第百十四回
機本伸司の『僕たちの終末』

2050年、太陽活動の異常による太陽暴風で、地球に滅亡の危機が迫っていた。
そんな中、天文学者の神崎正は、恒星間宇宙船を作って地球を脱出することを目標とする、終末旅行サークル、ワールドエンド・スペーストラベル、通称WESTを立ち上げた。
正は小さな人材派遣会社を経営する、瀬河恒夫とその娘那由をも巻き込んで計画を進めていく。
技術的、法律的、政治的問題が山積みの中、WESTはまだ見ぬマクガフィン星にたどり着くことができるのか。

『神様のパズル』が面白かったので買ってみた。
『神様のパズル』が宇宙創成を扱った小説なら、『僕たちの終末』は恒星間宇宙船を扱った物語だ。

まず思ったのは、人類は終末を前にしてもパニックを起こさずにいられるのかということだ。
これは終末までの時間が関係しているだろう。
一週間後に世界が滅ぶと言われればパニックも起きるかもしれないが、この話では太陽暴風が地球を襲うのは数年後だ。
これだけ時間があれば、当面は生活もあるし、パニックも起きないのかもしれない。終末の直前は分からないが。
とにかくその前に宇宙船を作って地球から脱出しようというのが正たちWESTの計画だ。

キャラクターの個性は相変わらず強い。
男勝りの那由。
夢を語るばかりでまったく行動が伴わない正。
「それは理屈に合わない」が口癖の岡本。
能天気なプリン(しかしプリンって(笑))。
何を考えているのか分からない宮西。
他にもさまざまな個性が脇を固める。

相変わらず表紙と中身にギャップがある。
こんな表紙だが内容はがっちがちのSFである。
ちんぷんかんぷんな科学の話を分かったような気にさせてくれるのも相変わらず上手い。

岡本が熱い。
理屈ばかりを言い続けてきた男が、土壇場で絞り出した言葉。

「そうです。人生なんて、理屈に合わない」

今まで憎らしいほどに理屈ばかりを言い続けた男の言葉だから重みがある。

正も最後は岡本に負けず熱い。
今まで行動しなかった男が起こした無謀ともいえる行動。
那由との逃げないという約束を守るために。

終盤の盛り上がりはかなり熱い。
そして、正の疑問は結局宇宙とは何か、自分とは何か、に収束していく。
機本伸司のメインテーマなのだろう。
いや、全ての疑問は突き詰めていけばそこにたどり着くと言える。

青春小説でもあった分、『神様のパズル』の方が好みだったが、負けず劣らず面白かった。

ちなみに表紙の二人は誰だろう。
女の方は那由として、後ろの渋い男はまさか正か。
何か観測具みたいなものも持ってるし。
正はもっとへたれな感じだと思っていたのに……。
むしろこの顔は宮西だろう。


評価:B+


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Edit / 2011.04.05 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
有頂天家族
カテゴリ: 森見登美彦 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「面白きことは良きことなり!」


第百十三回
森見登美彦の『有頂天家族』

偉大な父親から阿呆の血だけを引いて生まれた矢三郎は、狸の名門下鴨家の三男だ。
面白く生きることだけを考える矢三郎だが、頑固だがいざとなると弱い長男に、もはや狸ですらなくなった次男、臆病者の四男と兄弟そろってへなちょこである。
だがライバル狸の金閣、銀閣も負けず劣らず阿呆である。
というか狸にはすべからく阿呆の血が流れているのである。
そんな狸たちが京都の町を駆け回る、狸だから男汁は出ていないが、随所に森見節あふれる物語だ。

女性陣が強い物語である。
矢三郎たちの母親や、矢三郎の元許嫁、海星、天狗の弟子の弁天などだ。
特に海星と弁天がいい。
矢三郎に辛辣な態度をとりながら、要所要所で矢三郎を助ける、なぜか姿を決して見せない海星。
人間でありながら天狗よりも天狗的であり、何を考えているのか分からない弁天。
どちらもいいキャラクターだ。

赤玉先生もいい。
矢三郎たち兄弟の師であり、弁天に天狗の術を教えた師でもある赤玉先生は、弁天と矢三郎の悪戯により腰を痛め、その天狗的能力をほとんど失っている。
それなのに高いプライドはますます高くなるばかりである。
いかにも森見的キャラクターだ。
ちなみに私は赤玉ポートワインというものを飲んだことがないのだが、この本を読んで飲んでみたくてたまらなくなってしまった。
コンビニに売っているだろうか。

しかしなんだ。
父親が鍋にされて食われたというのは人間だったら間違いなくホラーだが、狸だとそんなに悲壮感もない。
それは私が人間だからだろう。
しかし狸たちの阿呆さによるところも大きいだろう。
まあ、二男のエピソードに感じるところはあったが。
その分矢二郎が「捲土重来!」と叫ぶシーンはよかった。
名エピソードだ。
そして、実の兄を鍋の具材に提供した夷川早雲は悪辣非道の狸である。
海星とともに阿呆でない数少ない狸と言えよう。

そういえば、『夜は短し歩けよ乙女』で出てきた偽電気ブランは狸が作っていたのか。
となると寿老人は李白だろうか。
奇弁論部なども登場して他の物語とのつながりを感じさせてくれる。
嬉しい計らいだ。

さて、結局のところどうだったのかと言えば、もちろん、面白かった。
少し疲れていて、物語に入り込めなかったのが悔やまれる。
森見節も満載でいちいちにやりとさせてくれる。
現在続編が連載中のようだ。
弁天の涙の訳や、海星が姿を現さない理由も明らかになるのだろうか。
楽しみに待ちたい。
面白きことは良きことなり、だ。


評価:AA


有頂天家族 (幻冬舎文庫)有頂天家族 (幻冬舎文庫)
(2010/08/05)
森見 登美彦

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Edit / 2011.04.01 / Comment: 1 / TrackBack: 1 / PageTop↑
永遠。
カテゴリ: 村山由佳 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百十二回
村山由佳の『永遠。』

僕は水族館で、今日短大を卒業する幼馴染の弥生を待っていた。
弥生は実の父が勤めている短大に通い、彼の講義を受けた。
「お父さん」と一度も告げることもなく。

表紙に惹かれて買った。
やったら薄い本、しかも一ページの文字の量が少ないと思ったら、映画『卒業』のサイドストーリーらしい。
一応この作品だけでも楽しめると後書きにもあったが、私はやはり物足りなかった。
やはり肝心の父娘の絡みが説明だけでは今一つに感じた。
かといって『卒業』を見てみようと思う訳でもなく……。
村山由佳は嫌いではないんだけど。
正直に言えば、ちょっと微妙かな、と。


評価:D


永遠。 (講談社文庫)永遠。 (講談社文庫)
(2006/10/13)
村山 由佳

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Edit / 2011.04.01 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

評価基準
AAA:凄く凄い
AA:凄い
A:とても面白い
B:面白い
C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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