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まほろ駅前多田便利軒
カテゴリ: 三浦しをん / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第九十八回
三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』
直木賞受賞作。

東京の南西部に位置する架空の都市、まほろ市を舞台に繰り広げられる物語。
駅前で便利屋を営む多田と、そこに転がり込んできた高校時代の同級生行天。
さまざまな依頼を扱ううちに、なぜだかきな臭い状況になってしまう。
そんな、ハードボイルド臭の漂う話だ。

「まほろ」という柔らかい響きからもっとほのぼのした物語を想像していた。
だが実際は結構シビアなストーリーだった。
そもそもまほろ市とはまぼろしを都市名にしたもので、この都市を舞台にした小説は他にもいくつか描かれているらしい。
この作品もその中の一編という訳だ。

さて、直木賞受賞作ということで、大いに期待して読み始めた。
その結果これが直木賞受賞作か? というのが正直な感想だ。
決してつまらない訳ではない。
少しばかりハードルを上げすぎてしまっただけだ。

便利屋は私立探偵ではない。
持ち込まれる依頼は基本的に平和なものばかりだ。
なのに物騒な話になってしまうのだ。
例えば小学生の塾帰りの迎えを依頼されたら、その小学生が「砂糖」の売買に関わっていたり、その結果知り合いになってしまった暴力団の男から、親を殺した女子高生の友達をかくまうように依頼されたり、だ。
行天がやたら好戦的なせいもある。
そのせいで刺されたりもしている。

行天は変な男だ。
前述したようにやたら暴力的だったり。
かと思えばやたら含蓄のある言葉を吐く。

「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」

何ともつかみどころがない。

多田の抱える深い絶望が、切ない。
しかし、幸福は再生するのだと多田は最後に思うことができた。
そのラストは素直に良かった。
いい読後感だった。


評価:B+


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Edit / 2011.01.29 / Comment: 0 / TrackBack: 1 / PageTop↑
KAPPA
カテゴリ: 柴田哲孝 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第九十七回
柴田哲孝の『KAPPA』

牛久沼にブラックバスを釣りに来た男が上半身を引きちぎられた死体で発見された。
目撃者は「河童」を見たという。
その目撃者も足を失った死体で発見される。
人間業とは思えないこの凶行の犯人は人か河童かそれとも……

キャンプングカーを住居とするルポライター、引退間際の漁師、一匹狼となった刑事、引きこもりの少年の四人が協力して謎に挑む、その様子は素直に面白かった。
ただ河童の正体がな~。
ワニガメとは。
スッポンに目がつけられた辺りでなんとなく予想はついたけど。
河童と間違えるかな~?
ググってみたらまあそう言われてみれば見えなくもない画像もあったけど。
大の大人が間違えるだろうか。
まあ頭と甲羅だけが見えていたならあるいは、といったところか。


狭量な考えしか持てないと思われた、阿久沢の上司長富が意外と器が大きくていいキャラしてると思った。
それにしても麻酔薬を手に入れる際、大田医師の意図が読めない阿久沢は馬鹿なんじゃないか。
お約束ではないか。

源三が死にそうな雰囲気がビンビンしていたが、何事もなくて拍子抜けだった。
あの伏線っぽい描写は何だったんだ。
ちょっと溺れただけだった。

まあ、全体としてみれば面白かった。
そこそこ良作。


評価;B


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Edit / 2011.01.29 / Comment: 0 / TrackBack: 1 / PageTop↑
少女には向かない職業
カテゴリ: 桜庭一樹 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人を二人殺した。


第九十六回
桜庭一樹の『少女には向かない職業』

小さな島に住む一人の中学生の小さな悪意が彼女の義父を殺した。
そして彼女は否応なく過酷な運命へと巻き込まれていく。

タイトルが気に入って買ったが、内容はう~ん。
けしてつまらなくはなかったが、面白かったとも言えない。
そんな感じだった。

最初から最後まで、あまりに救いのない物語だ。
葵の感じる閉塞感や、絶望が見事なまでに無情に描かれている。
唯一救いになりえたかもしれない少年、颯太も他に彼女がいる。
友人たちともうまくいかなくなる。
母親は家を出ていく。
七方塞がりで、残る一方には宮乃下静香が待っている。

しかし静香は葵に救いを求めていたのだ。
飄々とずさんな殺人計画を語るさまも、妖気の漂うような在りようも全てペルソナだった。
その内実は葵と同じ普通の少女だったのだ。

本当に救いがなく、絶望に向かって落ちていく小説だ。
だがそのこと自体はこの物語の評価を下げる要因にはなりえない。
上手く言えないが、何というか物足りない感じがするのだ。
語られるべきことはすべて語られているのに、なんでだろう。
まあ一作で桜庭一樹という作家の評価を決めるのもなんだ。
あと何作か読んでみよう。


評価:C+


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Edit / 2011.01.27 / Comment: 0 / TrackBack: 1 / PageTop↑
スロウハイツの神様
カテゴリ: 辻村深月 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「幸せになったくらいで、書けなくなってたまるかっつーの!!」


第九十五回
辻村深月の『スロウハイツの神様』

人気作家チヨダ・コーキの小説が原因で殺し合いが起きて十年。
脚本家の赤羽環がオーナーを務めるアパート「スロウハイツ」ではコーキと環とその友人たちが暮らしていた。
友人たちもそれぞれ分野は違えどクリエイターの卵たちで、夢を語り合い、創作活動に励んでいた。
空き部屋だった201号室に新しい住人がやってくるまでは。

いやー、面白かった。
辻村深月は私に合うようだ。
三作読んで三作とも当たりだった。
『冷たい校舎の時は止まる』に続いて、謎解きもしてやった。
コーキの天使ちゃんの正体はかなり早い段階から予想がついていた。
天使ちゃんはクレバーな人間ではありえない。
根本的な部分で不器用な人間だ。
さらっと流されているが伏線もしっかり張られている。
例えば環が莉々亜の名前ではなく名字に反応していることとかだ。
環と桃花にハイツオブオズのケーキを挙げた人物も、これはあまり根拠のない直感だったが分かった。
そういえばコスプレして警官に追いかけられた話は作り話じゃなかったんだな
鼓動チカラの正体も早々と予想がついた。まあこれは候補者は一人しかいないだろう。

作家の出てくる小説が好きだ。
それもあって、非常に楽しく読めた。
まあ作家に限らず、物語を作る人の話が好きだ。
ジャンプの『バクマン』なんかも結構好き。
なぜだろう?
作家に対する憧れがあるからだろうか。

正義とスーには別れてほしくなかったな。
公輝と同じことを思った。

「僕はただ、あの二人に付き合っていて欲しかったです。自立とか、依存とかはどうでもいいから、正義とスーに仲良くしてて欲しかった。スーにここにいて欲しかったです。わがまま、ですけど」

そしてそれは狩野や環も思っていたことなのだ。

優しいだけの善人に見える狩野が意外な闇を抱えているのが好きだ。
結局狩野が「ダークウェル」の原作者、幹永舞ってことだよな。序盤にパソコンで作業していた締めきりの近い作品が「ダークウェル」だったんだろう。黒木と打ち合わせしていることからも間違いない。
この伏線は忘れてしまっていたな~。いかにも意味ありげだったのに。序盤のまだキャラクターが把握できていない時だからこそあれだけ堂々と伏線を張れたんだな。上手い。
原作者に原作を送り返す必要があるのかと思ったら、編集のチェック入りなわけだ。納得。
ところで、公輝が嘘をついたのはなぜだろう。
環の疑心暗鬼を解消させたかったからか。

となるとあとは、正義の「canとable」の発言の意味がよくわからない。
ニュアンスの違いっていうことだろうか。
と思って調べてみたらなるほど、そういうことか。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1146015071
上記のページに答えがある。
これを見破るのはなかなか難しい。

ずっと読み続けていたいと思える作品だった。
辛い出来事、悲しい出来事もたくさんある。
そもそもが残虐な事件から始まった物語だ。
だが物語全体を流れる優しく温かい雰囲気は何だろう。
それこそが「スロウハイツの神様」なのかもしれない。


評価:AAA


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Edit / 2011.01.26 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
おまけのこ
カテゴリ: 畠中恵 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「でも、それでも死ぬと言われたら、怖いんでありんす」


第九十四回
畠中恵の『おまけのこ』

江戸にある長崎屋の若だんな一太郎と若だんなを取り巻く妖達の物語。
『しゃばけ』シリーズ第三弾。
全五編の短編集だ。

「こわい」
狐者異(こわい)という誰からも受け入れてもらえない妖の話。
若だんなは、幼馴染の菓子屋の跡取り栄吉と、栄吉の作った菓子のあまりの不味さから喧嘩をしてしまう。
そこに狐者異が職人の腕が上がるという秘薬をもって現れる。

誰にも受け入れてもらえず、しかもかかわった者は皆不幸になるといわれる狐者異が寂しい。
狐者異はそう生まれついてしまったのだ。
狐者異を受け入れようとして拒絶された若だんなが何とも悲しい。


「畳紙」
滑稽なまでの厚化粧をやめられないお雛。
その相談になぜか屏風のぞきが乗ることになる。

本心では厚化粧をやめたいと思っているお雛。
屏風のぞきと話すうちに自分の心と向き合っていく。
そして、祖父母に本当に大切に思われていたことを知って、厚化粧をやめる決意をする。
於りんもちょっとだけ再登場。
相変わらず愛らしい。


「動く影」
まだ仁吉や佐助が長崎屋にくる前のこと。
若だんなの初めての推理の話。

推理が少し強引な気もしたがそこは子供の考えだし、というところか。
影女に怯えながらも頑張る子供たちが可愛らしい。


「ありんすこく」
何とあの若だんなが、吉原の禿(かむろ)を足抜けさせて一緒に逃げると言う。
もちろんその話には裏があった。

楼主に恩返しをしたいと思いながらも死の恐怖に耐えられないかえで。
嫉妬から楓の足抜けを邪魔してしまうまつばが悲しい。
人の気持ちは分からないものだ。


「おまけのこ」
鳴家(やなり)の大(?)冒険を描いた表題作。
「月の光の玉」を守るために鳴家が孤軍奮闘する。

話の主人公が鳴家だったからか最初から最後まで明るいトーンでよかった。
何にでも必死な鳴家が可愛い。


前巻より明るい話が多かったように思う。
読みやすくて面白いのは相変わらず。
ただ、個人的には『ねこのばば』の方が好きだ。
こちらもけして悪くはないのだが。
後味が悪い方が味があるのかもしれない。


評価:A


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Edit / 2011.01.23 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ねこのばば
カテゴリ: 畠中恵 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「ねえ一太郎さん。私はまだ、思い悩んでいるんですよ。選びたくない道しか目の前にないとき、人はどちらを向いて、足を踏み出すんだろうか……」


第九十三回
畠中恵の『ねこのばば』

江戸にある長崎屋の若だんな一太郎と若だんなを取り巻く妖達の物語。
『しゃばけ』シリーズ第三弾。
全五編の短編集だ。

「茶巾たまご」
珍しく調子のいい若だんな。
長崎屋の景気も良く、いいことずくめ。
いったい何が原因か?

明るく始まるが後味が非常に悪い。
なぜ殺してはいけないか。
これにちゃんと答えられる人は意外と少ないだろう。


「花かんざし」
妖の姿が見える迷子の於りん。
しかしあたりに親はおらず、家に帰ると殺されると於りんは言う。

一番好きな話。
宮部みゆきの『あかんべえ』しかり、時代小説に出てくる少女というのはなぜこうも愛らしいのか。
しかし内容はヘビーでまたも後味の悪い終わり方だ。
精神に病を抱えた人間の凶行。
罪に問えない罪。
現代でもよく聞く話だ。
答えの出る問題ではないのかもしれない。


「ねこのばば」
表題作。
猫又に頼まれ、寺に囚われた猫又になりかけた猫を助けに行った若だんな。
しかしそこには殴り殺された僧侶の死体があった。

三度後味が悪い。
それなのに全体を見るとそう感じないのは登場人物たちのコミカルさ故だろう。


「産土」
店の景気が悪くなり、払わなければいけない金ができると、どこからか金が現れる。
それはよくないことだと感じた佐助はその秘密を調べるのだが……。

ホラー調の話。
仁吉が出てこないから叙述トリックには早い段階で気づいた。
これまた後味の悪い話。

「たまやたまや」
若だんなの親友、栄吉の妹お春に縁談の話が来た。
しかしお春は若だんなに思いを寄せており乗り気ではない。
そこでなくした煙管を探してくれたら縁談を受けてもいいという。

五編の中で唯一後味の悪くない話だ。
しかし、少し切ない。
若だんなはお春のことを本当はどう思っていたのだろう。


全体的に後味の悪い作品が多いが、序盤は全てコミカルだ。
過保護な仁吉と佐吉や鳴家、屏風のぞきなどの妖達のおかげだろう。
また若だんなが名推理で謎を解き明かしていくのを読むのは爽快だ。
読みやすく、面白い。
そして最後は甘苦い。
いい小説だ。


評価:A+


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Edit / 2011.01.22 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
クレィドゥ・ザ・スカイ
カテゴリ: 森博嗣 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第九十二回
森博嗣の『クレィドゥ・ザ・スカイ』

『スカイ・クロラ』シリーズ第五弾
今作の語り手「僕」が誰かははっきりと明言されていない。
その点が今までと違うところだ。
ひどい不時着をした後に病院から抜け出し、フーコを頼ったことから、クリタ・ジンロウではないかと最初読者は思うであろうが、次第にどうも違和感が出てくる。
そしてそれは終盤の杣中の言葉で決定的なものとなる。
杣中は「僕」のことを草薙水素のようだと言い、カンナミと呼んだ。
結局「僕」は何者だったのか。
その考察はまた後で。

フーコと別れた「僕」は今度は相良を頼る。
会社から追われている「僕」には他に頼れる人がいなかったからだ。
相良は入院中の「僕」を訪ねてきて、その際に連絡先を渡していた。
また、謎の注射を「僕」にしている。
そして「僕」は相良の元へ向かう際に草薙水素に殺される幻覚を見る。
その後も草薙水素の幻覚を頻繁にみる。

薬の影響か記憶力が非常に乏しくなっており、それは物語の進行とともにひどくなっていく。
まず自分が誰なのか分からない時点で相当だ。

「僕」はしばらく相良の家でかくまわれることになる。
杣中が相良の家を訪ねてきて、草薙水素が先の大きな戦闘で墜ちたという話があること、クリタが病院から抜け出し、娼婦と逃げ、草薙水素に射殺されたという情報をもたらす。
つまり水素が墜ちたというのは嘘だということだろう。
この辺がややこしい。

しばらくするとアシがつき、相良の飛行機で脱出することになった。
そして相良の仲間の元に行くこととなる。
彼らは一種の反政府組織のようなものだろうか。
そんな感じがした。
そこには散香があり、「僕」は後にそれに乗って追手と戦うことになる。
そして追手を全機墜とした。
しかし地上は制圧されており、情報部の甲斐にともに戻るように言われる。
それから一人立て籠る相良を説得しに行く。
だが、相良は死を選び、「僕」に殺されることを望んだ。
そしてその前に「僕」が病院で売った注射でキルドレに戻ったと告げる。
「僕」は相良を撃ち、パイロットへと戻った。

パイロットへ戻った「僕」の前に杣中が現れる。
非武装地帯で起こった戦闘で四機を落としたのは草薙水素だと断言し、今他の基地の指揮官になっている草薙水素は偽物だと言い「僕」のことを草薙水素に似ていると言い、カンナミと呼んだ。

さて、結局「僕」はいったい誰なのか。
杣中のいうことが本当なら「僕」=草薙水素=カンナミ・ユーヒチということになる。
エピローグだけ「僕」の中身が違うということはあるだろうか。
その可能性も否定できないが、それは少しアンフェアな気がする。
私の考えとしては「僕」=草薙水素=カンナミ・ユーヒチだ。
矛盾点も多いのだが、ティーチャの名前に執着を示したり、「ブーメラン、跳んでいるか?」という声を懐かしく感じていること。
また甲斐に執着されていること。
そして何より「僕」がキルドレに「戻った」ということだ。
「戻った」ということは今までキルドレではなかったということ。
キルドレでなくなった人物は草薙水素だけだったはずだ。
ここが一番の決め手だろうか。
ということは相良の家で杣中が言っていた直接会ったという草薙水素は既に偽物だったと推測するしかない。
最大の矛盾は『ダウン・ツ・ヘヴン』で水素が会ったカンナミは何だったのかということだ。
それについては水素が見た幻覚だったのではと推測される。
強引な点も多いがこれで全ての矛盾点を解決できるのではないか。
なぜフーコを頼ったのかという疑問もあるが、フーコと親交がなかったという描写はなかったように思う。
あったという描写もなかったと思うが。
まあ、そう言う訳で草薙水素はカンナミとなって『スカイ・クロラ』へ続く訳だ。
と思う。

シリーズで一番面白かった。
やはり謎があった方が面白い。
『スカイ・クロラ』シリーズはこれで完結だろうか。
あとは短編集があるようだ。
今作の謎の手掛かりとなるものだろうか。
楽しみだ。


評価:A


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Edit / 2011.01.15 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
フラッタ・リンツ・ライフ
カテゴリ: 森博嗣 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第九十一回
森博嗣の『フラッタ・リンツ・ライフ』

『スカイ・クロラ』シリーズ第四弾。
今作の語り手「僕」は、クリタ・ジンロウ。
少々記憶力が乏しいようだ。
また土岐野が再登場した。
時系列で言えば『スカイ・クロラ』の少し前か。
ちなみに草薙水素は小隊長になっている。

序盤は例によって淡々としている。
しかしそのうちにこの世界のこと、というよりもキルドレについても少しわかってくる。
ある種の薬によって誕生したこと、そして、普通の人間との間で妊娠したらキルドレではなくなること。
つまりキルドレでなくなるのは女のキルドレに限られる。
そしてその最初で現在唯一の例が草薙水素である。
クリタはそのことを相良という研究者から知る。
水素本人からもそのことを聞いたクリタは、水素を殺すために現れた相良に撃たれる。

病院から療養施設へ移ったクリタだが、大規模な作戦のため再び空を飛ぶこととなる。
そこでクリタはティーチャと交戦、追いつめられるがギリギリのところで命拾いをする。
しかしほぼ墜落に近い不時着をしたクリタは重傷を負い入院することとなる。
ここで今作は幕だ。

クリタは水素に撃たれて死んだということになっていたはずだが、そのあたりはどうなっているのだろうか。
「ということになっている」だけでその場面が描写された訳ではない。
水素が嘘をついていた可能性もある。
あるいは語られていないだけど本当にこの後水素によって撃たれたか。
いや、それはなさそうな気がする。
そこら辺をはっきりさせてくれないもやもやもこのシリーズの魅力ではある。
次作も読み終わっている。
あとは短編集か。


評価:B+


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Edit / 2011.01.14 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ダウン・ツ・ヘヴン
カテゴリ: 森博嗣 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第九十回
森博嗣の『ダウン・ツ・ヘヴン』

『スカイ・クロラ』シリーズ第三弾
前作『ナ・バ・テア』に引き続き、草薙水素の過去編となる。
時系列では前作の続きだ。

戦闘中に負傷した水素は病院で空を飛べない退屈な日々を過ごす。
そしてそこでカンナミと出会う。
今作の見どころは、このカンナミとの邂逅とティーチャとの再会に尽きるだろう。
特にティーチャと敵として再開するくだりはわくわくした。

両者の一対一の戦いのシーンも面白い。
しかしとある理由でどちらも墜ちることなく戦闘は終了する。
これもまた会社の都合か。
どちらの会社もエースを失うことを望んではいなかったのだろう。

作を重ねるごとに面白くなってくる。
シリーズ物は大体第一作が一番面白いことが多いものだが。


評価:B+


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Edit / 2011.01.08 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ナ・バ・テア
カテゴリ: 森博嗣 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第八十九回
森博嗣の『ナ・バ・テア』

新年一発目の更新だが、特に何もない。
淡々と行きます。

『スカイ・クロラ』の続編。
『スカイ・クロラ』の過去を描いている。
主役は前作の最後で死んだ(キルドレに死はないらしいが)草薙水素
最初はひっかけで、草薙水素の物語ではなく水素の娘が主人公なんじゃないかと邪推したが、見当はずれもいいところだった。
名前が明かされるのも遅かったし。
森博嗣ならそのくらいやるかなと思ったのだが。

前作より面白く感じた。
それはやはりティーチャの存在が大きいだろう。
キルドレではない普通の大人でありながら、エースパイロットである男。
寡黙で人付き合いを好まない、そんな人間だ。
しかし、物語の中でずば抜けた存在感を発揮していた。

水素が後に指揮官になる経緯も描かれている。
会社の都合という奴だ。

相変わらず世界は基地と空と時々の町しかないが、ティーチャの存在で世界が広がったような、そんな気さえする。

そう言えば栗田という人物が登場したが、『スカイ・クロラ』で名前だけ登場したクリタ・ジンロウと同一人物だろうか。
普通に考えればそうだろう。
となるとカンナミがクリタと同一人物だとか言われてたあれは真っ赤な嘘ということになる。
多分そうなのだろう。

読んだのが結構前なのであまり感想が出てこない。
ただ、まあ面白かった。


評価:B


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Edit / 2011.01.03 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

リンクもトラックバックも昔の記事へのコメントも全部大歓迎です。

2008 11/13(木)開設

評価基準
AAA:凄く凄い
AA:凄い
A:とても面白い
B:面白い
C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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