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機動戦士ガンダムUC 6 重力の井戸の底で
カテゴリ: 福井晴敏 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

背負わねばなにもできず、背負いこめば自分以外の意思に取り込まれ、時に自らを殺さねばならなくなる責任のために。それこそが人の哀しさだと知っているくせに。最後の一線で殺しきれない心を持て余しているくせに――


第七十九回
福井晴敏の『機動戦士ガンダムUC 6 重力の井戸の底で』

ユニコーンのラプラスプログラムが示した次の座標は地球連邦政府首都ダカールだった。
ジンネマンと砂漠を越え、ダカールへとたどり着いたバナージ。
ジンネマンはイスラム系反政府勢力のマハディと手を組み、ユニコーンを指定された場所に立たせようとする。
しかし、巨大MA(モビルアーマー)シャンブロを駆るマハディは、積年の恨みを吐き出すように暴走、街を、人々を蹂躙する。
それを知ったバナージは、ジンネマンらと袂を分かち、シャンブロを止めるためにユニコーンに乗る。
そこで、バナージの見たものは孤軍奮闘するリディだった。

いよいよ第六巻。
後半戦に突入だ。
それにしても、ボーンフィッシュにシーゴーストは遊びすぎじゃないかと思う。
アディの名前にも聞きおぼえがある。
菊政といい、作者はこの手の遊びが好きなようだが、やりすぎるとちょっとげんなりするというか……。

まあそれはそれとしてだ。
暴走したシャンブロを止めるようにジンネマンにバナージがくってかかる。
ジンネマンは砂漠越えの時にも覗かせた、強面の下の人間らしい心をバナージに責められることとなる。
バナージを取り込むという下心もあった。
だがそれだけではなかった。
とうに失ったはずの、捨て去ったはずの心がジンネマンにはあった。
クルーたちもそれをわかっているからジンネマンが殴られてもバナージを止めない。

「だからって……! 自分が地獄を見たからって、他人にそれを押しつけていいってことはないんだ!」

そしてバナージはユニコーンに乗ってガランシェールを去る。
この辺りのバナージのセリフは、『終戦のローレライ』の征人を思わせる。
福井作品の根底を流れるテーマの一つといっていいだろう。

戦闘シーンはさすがの迫力だ。
派手な爆発シーンも、MSの動きもちゃんとイメージできる様に書かれている。

そして、バナージはとうとうユニコーンの制御に成功する。

「そうだ、怒っていい。これは理不尽だ」

マシーンの一部となることなく自らの意思でNT-Dを発動させる。

人の心を、哀しさを感じる心を知るものなら、<<ガンダム>>! おれに力を貸せ……!

そして、リディと連携してシャンブロを沈めることに成功する。
が、収拾しかかった事態はここからさらに盛り上がりを見せる。
戦闘終了後に接近する所属不明機。
それは黒いユニコーンガンダム、いや、獅子のような形状のマルチブレードアンテナを持つ黒いガンダムだった。
獅子、つまり、ビスト家のあのタペストリにユニコーンと対の存在として描かれていた獣だ。
機体名は<<バンシィ>>というらしい。
恐らくバンシー(Wiki)のことだろう。
マーサの言う女の理論から考えても間違いなさそうだ。
ただ、獅子と関連はなさそう。

そして、バンシィのパイロットとは……。

「マリーダ……さん……」


バンシィに圧倒されたユニコーン。
バナージが気を失ったところで6巻は幕となる。
かなり続きが気になる引きだ。
てっきり2号機は袖付きに強奪されて、フル・フロンタルが乗るものだと思っていた。

また、マーサがえぐいえぐい。
マリーダの再調整のシーンなんかかなりきつい。
恐らく最後までバナージの「敵」でありつづけるのだろう。
へたすりゃラスボスだ。

バンシィの登場でストーリーが一気に進んだ感のある今巻。
テンポも良くて読みやすかった。


評価:AA+


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Edit / 2010.09.29 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
君に届け 12
カテゴリ: 椎名軽穂 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学


漫画感想第十三回
椎名軽穂の『君に届け』12巻

相変わらずニヤニヤが止まらない。
これ以上続くと蛇足とか言っちゃったけど、あれ、撤回しちゃいます。
だって面白いのだからしょうがない。
このまましばらくいちゃいちゃしとけばいいじゃない。
男女交際のステップを丁寧に描くのもいいじゃない。
それでニヤニヤできるんならいいじゃない。

さて、今回は風早、黒沼家に行くの巻だ。
しかも夕飯にご招待。
爽子の両親ともご対面だ。

その前に、二人はやっと手をつなぐのだが、そこがまた甘酸っぱくてたまらん。
しかも大胆にも爽子から動くのである。
風早はチキンである。
チキン故、爽子の伸ばした手を驚いて振り払う格好になってしまうのだ。
その後ちゃんとつないだけどね。
まあ風早はチキンですねって話。

そして手をつないで歩いているところを爽子ママにフライデーされてしまうのだ。
自分から言う前に、ばれちゃったことに罪悪感を抱く爽子は真面目だな~。
私なんか付き合ってる人がいることを親に言ったことないな~。
むしろ隠してた。
なんとなくね。

それはいいとして、父には自分から電話で報告する爽子。
絶句する父(笑)
近所の池田さんからもらった魚をさばいてふるまう父。
無駄に爽やかな風早に文句付けたくても付けられない父。
父可愛い。

また、ちづとあやねの初対面の時の話も収録されている。
最初はお互い気に入らないと思っていたようで。
それでまあ色々(腕相撲とか)あって仲良くなったわけですよ。
女の友情、いいね。
長距離走早い爽子はちょっとツボッた。
勉強もできるし案外パーフェクト超人ではないか(笑)

今巻も面白かった。
読んでる時終始ニヤニヤ。
でもさすがに映画の公開が終わったら締めに入るのかな?
となるとゴールはキスだろうか。
それともまだまだ続くか。


評価:AA+


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Edit / 2010.09.24 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
塩の街
カテゴリ: 有川浩 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた。


第七十八回。
有川浩の『塩の街』

有川浩のデビュー作にして、『空の中』『海の底』と並ぶ自衛隊三部作の第一作。
やっと読めた。
知らない間に文庫化されてたのを偶然本屋で見つけた。
ネタバレ上等で行きます。

巨大な塩の結晶が世界各地に降り、人間が塩の塊になる「塩害」が着々と進む世界。
そんな中、東京で暮らす秋庭と真奈。
二人の前には様々な人間が現れ、そして消えていく。

自らも塩害にかかりながら、塩となった恋人を背負って海を目指す青年、遼一。
海に恋人を溶かした後、自分も溶けて恋人と一つになるために。
しょっぱなから切ない。
遼一が言うように、秋庭が言うように、二人は幸せなのだろう。
それでも、やっぱり切ないのだ。
しかし、これがデビュー作だというから恐れ入る。

逃亡してきた囚人、トモヤ。
後に明らかになるが、彼は塩害の実態を探るための(より正確にいえば後に登場する入江の仮説を証明するための)人体実験の被験者だった。
そこから逃げ出してきた(発信機がついていたということは、彼は逃げ出したのではなく泳がされていたのだろう)彼は真奈を人質に、海からの帰り道だった秋庭たちの車に同乗する。
秋庭と真奈の住処に案内させた彼は、秋庭と真奈が気にくわないから、二人を傷付けるために真奈を嬲る。

「あなたは、ホントにあたしとこういうことがしたいんですか!? ――あたしじゃないんでしょ、ホントにキスしたい人はっ!」 

一瞬の隙をつき、真奈を助け出した秋庭だが、トモヤの塩害はかなり進んでおり、背中にねじあげられた腕はぼきりと折れてしまった。
観念したトモヤはぽつぽつと語りだす。高校の時のクラスの委員長との淡い思い出を。
最後の真奈とのやり取りが悲しい。

そして最後の来訪者、入江。

「世界とか、救ってみたくない?」

悪魔のような男だと思った。
実際何千何万の囚人を使って塩害人体実験をしている。
ただし、世界を救うために。
ひょうひょうとしているが、目的のためなら手段を選ばない男だ。
入江の目的は、塩害の原因と目される、宇宙より飛来した塩の結晶の破壊だ。
そのためのパイロットとして秋庭は選ばれた。
その後は入江の手腕もあり比較的スムーズにことは進み、世界は救われた。
世界が終わる瞬間まで――、なんていうから、世界が静かに滅んでいく話だと思っていたが違った。
世界はきちんと救われた。

Scene-6.のサブタイトルが好きだ。

君たちの恋は君たちを救う。

秋庭は世界を救うためにF14に乗ったのではない。ただ真奈を助けるためだけに乗ったのだ。
ただ好きな人を守るために。

本編は本の厚さの半分くらいで、残りはアフターストーリーとなっている。
世界が救われた、その後の世界をしっかりと書いている。
けして蛇足ではない、と私は思う。

あと、色々上げ足とろうと思えばとれるとこもある。
いくらなんでも入江の若さで司令としてもぐりこむのは無理があるだろうとか、塩の結晶の破壊なんてアメリカが真っ先にやるだろうとか(もちろん不測の事態に備えて日本で)。それでも面白かったからいいのだ。

そういえば『海の底』も読んだのだが、感想をかいていない。
そのうち読みなおして書こうと思う。

他にもいろいろ読んだりしてるのだが感想書くのがおっつかない。
こんなんでも結構時間かけて書いてるんです。


評価:AA+


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Edit / 2010.09.17 / Comment: 4 / TrackBack: 0 / PageTop↑
空中ブランコ
カテゴリ: 奥田英朗 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第七十七回
奥田英朗の『空中ブランコ』
直木賞受賞作品

精神科医伊良部シリーズ第二弾
今回も連作短編となっており、バラエティー豊かな患者たちが伊良部の元を訪れる。
跳べなくなった空中ブランコ乗り、先端恐怖症のやくざ、義父のヅラをはぎとりたい衝動に駆られる医者、一塁に送球することが怖くなったベテラン野球選手、執筆中の小説の設定を以前にも使っていないか気になってしょうがない女流作家などだ。

伊良部の行う治療行為は相変わらずビタミン注射だけである。
それも伊良部が注射フェチなだけで治療行為とは言えない。そして看護婦は相変わらず露出狂だ。
その後は相手の職業などに興味を持ち、のめり込んでしまう。
そうこうしているうちに患者の症状は改善されてしまうのだから面白い。

さて、以前の『イン・ザ・プール』の時は伊良部は自覚してあんな行動をとっているのではないかと書いたが、やはり伊良部は何も考えていないようだ。
好き勝手やって、それがたまたまいい方向に働いているだけのようである。

面白かった。
面白かったのだが、直木賞を取るほどかと感じた。
奥田英朗ならもっと他にふさわしい作品がありそうだが。


評価:A


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Edit / 2010.09.13 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊
カテゴリ: 福井晴敏 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「私のことはいい。バナージ、これからどんな現実に直面しても、自分を見失うな。“それでも”と言い続けろ」


第七十六回
福井晴敏の『機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊』

前巻でNT-Dを発動させ、クシャトリヤを破壊したユニコーンが新たに示した座標は、宇宙世紀元年にテロにあい爆破された首相官邸ラプラスだった。
パナージはエコーズの隊長、ダグザとともに首相官邸ラプラス跡に調査に訪れた。
そこでユニコーンガンダムから、地球連邦初代首相で首相官邸ラプラスで死んだリカルド・マーセナスの演説が流れてきた。
その声に反応してバナージは自分の記憶、出会った人々の言葉をめぐり、そしてユニコーンのサイコフレームが輝きだす。

おれは、おれたちは、その先にあるものが見たい。人は確信し得るという可能性を持って、この“声”の主が指し示す未来を――。

これこそが、マリーダの言っていたカーディアス・ビストがユニコーンガンダムに組み込んだもう一つのシステムなのだろう。
だが、バナージが敵を感知したことにより、システムは発動せずじまいだった。

ガランシェールと会敵し、戦闘が始まったがバナージは相手を殺さないように戦っていた。
個人的には戦争でそんな戦い方をするのは好きじゃないかな。
ダグザの言う通り敵は落とせる時に落とすべし、だ。

そして戦場にフル・フロンタルがやってくる。
ユニコーンに同乗していたダグザが降り生身の体でトラップを仕掛け待ち構える。
そのトラップはシナンジュのメインカメラをつぶし、手榴弾でサブカメラもつぶしたダグザはしかし、シナンジュのビームサーベル一振りで消滅してしまった。
そしてそのことがきっかけでNT-Dが発動する。
しかしダグザが死んでしまうとは。
ダグザはユニコーンを降りる前にバナージに言葉を残していた。

「ジオン根絶のための殺戮マシーン……そんなものじゃない。それとは違うなにか正反対の何かが<<ユニコーン>>には組み込まれている。それを制御するのは、多分パイロットの心だ。感じ、傷つき、恐れさせる心。脆くて、効率が悪くて、時にはない方がいいと思える生身の心だ」

この言葉はバナージには届かず、また機体の持つ攻撃本能に支配されてしまう。
暴走状態のユニコーンは相変わらず手の着けようがなく強力で、結局地球の重力に引かれながらシナンジュとの一騎打ちとなる。
そのなかでマシーンにとらわれたままギルボアの乗るギラ・ズールを破壊してしまったバナージは失意の中地球へと落ちていく。
そしてアルベルト・ビストの横やりで救助されなかったユニコーンはガランシェールに
回収される。敵船に回収されるのは二度目か。


一方地球に降りたリディとミネバは、ラプラスの箱をめぐる、第三勢力である移民問題評議会の議長である、リディの父親ローナンの協力を仰ごうとした。
しかしマーセナス家とラプラスの箱には何らかの因縁があるらしく、それを聞かされたリディは絶望する。
それがなんなのかはまだ明らかにならない。
また謎が一つ増えた。
そろそろ整理しきれなくなってくるので伏線を回収していってほしい所である。
次巻以降に期待。


評価:AA


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Edit / 2010.09.10 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
君がぼくに告げなかったこと
カテゴリ: 図子慧 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第七十五回
図子慧の『君がぼくに告げなかったこと』

「一年待ってください」
「お断り」


何というか暗い話だった。
多感な青春を描く学園ミステリー(裏表紙より)を謳っているのにこの暗さはどうしたことか。
いや、青春が明るいだけのものではないことぐらい承知しているが、しかし暗い。ずっと暗い。
ちゃんと青春してた『小暮写眞館』を読んだ後だけにこの暗さにはまいった。
舞台が男子校というのも暗さの一端だろう。
しかも寮だ。華がない。
他校の女子生徒なども登場するが端役だ。
青春を描くならそこは恋の一つでもしておけよと言いたくなる。

しかも、生と死、愛と性、友情が複雑に交差(裏表紙より)してしまうのである。
男子校で愛と性が交差してしまうということはつまりそういうことである。
詳細な描写はないが男同士のペッティングは正直読みたくなかった。
この辺も暗さに拍車をかける。

解かれるべき謎ってのは升岡がなぜ死んだか、だと思うのだが、真相は岩下と揉み合って落ちたでいいのだろうか。この辺もはっきりしないし、なんだかなあ、という感じだ。

最後だけ少し明るかったのが救いか。


評価:D


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(2006/03)
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Edit / 2010.09.10 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
小暮写眞館
カテゴリ: 宮部みゆき / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

彼女は英一に、嘘をついたことがなかった。いつも、どんなときでも正直だった。
――ちゃんと電話するから!
それが、最初で最後の嘘になった。



第七十四回
宮部みゆきの『小暮写眞館』

宮部みゆきを読むのは久しぶりだが、どことなく宮部みゆきっぽくない気がした。
特に根拠はないのだがそう感じた。

十分面白かったのだが前評判ほどではなかったとも思った。
そういえばハードカバーの小説を読むのは久しぶりだ。
基本的に文庫派なので。

さて内容だが、ひょんなことから主人公の花菱英一が心霊写真の真相究明をすることになり、友人や、懇意にしている不動産屋の協力をあおぎながら写真の謎を解き明かしていく物語だ。
持ち込まれる写真は合成であることもあればそうでないこともある。
それに、最初に心霊写真といったが、心霊という言葉ではくくれない。なぜなら生きている人間が写っていることもあるからだ。
作中では念写といわれていた。

全四話構成で第四話だけは写真は持ち込まれない。
というより心霊写真はこの物語の導入部分でしかないというべきか。
英一の内面も語られる。幼くして亡くなった妹の風子、その死に責任を感じていることなどだ。
親戚の前で英一が啖呵を切るシーンはスカッとした。

基本的に、登場人物たちは皆善意で動いている。
だからこそそこに差し込まれる悪意が映える。
風子の葬儀で英一の母親に投げつけられた言葉や、コゲパンに告白したサッカー部の奴や取り巻きの女子などだ。
そういうところを書くのが上手いのはさすが宮部みゆきだ。

それにしてもヒロインが意外だった。
おまえがヒロインかよって感じで。
最初に登場する女子高生でも良いし。
コゲパンでも良かったではないか。
そこをあえてあいつにするとは。
こんなヒロイン他にいないんじゃないかと思う。
でも、だからこそこの小説はこんなにも優しいのかもしれない。

基本的には穏やかでゆったりと物語は進んでいく。
だが時おり現われる不穏な空気(例えば風子のことなど)が現われる。
それでバランスが取れているようにも思う。

読後感も良い。
社長の言うとおり、あれは逃避ではなく出発なのだ。

走り出せ、花菱英一。
そうだ、走ろう。線路は続いているのだから。今はまだ見えないどこかに向かって走ろう。
そこにはきっと、春の花がいっぱいに咲いている。




評価:A+
久しぶりに書評を書いたが何だかしっくり来ない。
元々たいしたもんじゃないが、何だか書き散らかしただけって感じがする。



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Edit / 2010.09.03 / Comment: 4 / TrackBack: 1 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

リンクもトラックバックも昔の記事へのコメントも全部大歓迎です。

2008 11/13(木)開設

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B:面白い
C:暇つぶしには
D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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