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空の中
カテゴリ: 有川浩 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「まあいいよ、今日は却下で。俺は気が長いからね」


第五十三回。
有川浩の『空の中』

無茶苦茶面白かった。
全体の流れも、主人公の飄々とした様子も、最後まで素直じゃないイーグルドライバーも、真面目でいい子である故に戻れない所まで行ってしまうこどもも、若者を導く老人も、穏やかな後日談も、全てが申し分ない。

特に高巳と光稀のやり取りにはニヤニヤせざるを得ない。
これが、ツンデレって奴か(笑)
やー、もう可愛いわ。
ずるいくらい可愛い。

後日談というものが凄く好きだ。
人によっては蛇足だと思う人もいるだろう。
実際蛇足になってしまうことも多いのかもしれない。
後付設定丸出しの続編に繋げるためだけのものだったり、読後感を損なってしまうようなものとかだと確かに興ざめだが、本当の意味での後日談は作品に深みを与えてくれると思う。
要するに、事件が終わって、その後も続いていく登場人物たちのその後を描くものだ。
そしてもちろん『空の中』の後日談として収録されている「仁淀の神様」は素晴らしい方の後日談だ。
高巳と光稀の後日談も見たかったのでそれは少し残念ではある。

いや~、これでまたお気に入りの作家が一人増えた。
本当は、もっと内容にも踏み込みたかったのだが、ちょっと時間がないので短めで。



評価:AAA



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有川 浩

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実は四月から就職して、しばらくネット環境がなくなるので当面ブログの更新を休みます。
それではまた。
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Edit / 2009.03.26 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
平面いぬ。
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第五十二回。
乙一の『平面いぬ。』
全四篇の短編集。

「石ノ目」

幼い頃に失踪した母の手がかりを探すために山に入った主人公とその同僚。
迷った末にたどり着いた民家には不気味な老婆が住んでいた。

出だしは典型的な怪談だが、乙一がそれで終わるはずもない。
何が凄いって石ノ目が登場しないことだ。
しかも、存在しないわけではなく、もう死んでしまったのだ。
なんともあっさりだ。
でもそれがいい。

「はじめ」

誤ってひよこを殺してしまった少年らが罪をなすりつけるために作り上げた少女、「はじめ」
空想上の存在に過ぎなかったはずのはじめだったが、いつしか人格を持つようになる。

乙一お得意の、おとなしい少年が主人公の話。
何か既視感があると思ったら、「ウソカノ」に設定が似ている。
こっちの方が好きかな。
最後切ないな~。

「BLUE」

不思議な生地で作られた人形が動き出し意思を持った。

いや~、これ、きっついな。
正直序盤で嫌な予感はしてたんだけど。
どれだけひどい目にあっても、周りを憎まず、ひどい目にあわせた張本人たちを嫌わないブルーが辛い。
また最後が切ない切ない。

ぬいぐるみ作家の自殺は伏線かと思ったけど別になんでもなかったみたい。

「平面いぬ。」

表題作。
謎の中国人に掘って貰った犬の入れ墨がある日突然動き出す。

この手の話には弱い。
自分が愛されていると確信できない、でも確かめることもできない。
不器用だよな~。

病院で助けた男の言い草にはびっくりした(笑)
まあ権力をもっている人間なんてえてしてあんなもんか。


四つとも切ない、白乙一だった。
「BLUE」が一番好きかな。



評価:A



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Edit / 2009.03.19 / Comment: 4 / TrackBack: 2 / PageTop↑
葉桜の季節に君を想うということ
カテゴリ: 歌野晶午 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 桜の花は本当に散ったのか? 俺の中ではまだ満開だ。


第五十一回。
歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』

――やられた。

ひと言で感想を書けばこうなる。
いや、これは、凄い。
違和感はあった。
あったけど、これは気付かないと断言できる。
これを見抜いた人はいるのだろうか。
いないだろう、多分。
いたら凄い。

先入観なしで読んでもらいたいので詳しい感想はなし。
途中までは世間で評価されているほどではないな~とか思っていた。
でも随所に伏線もあったんだよな~。
一回目と二回目では内容が全く違って見えるであろう作品。

本当に、こんなに衝撃を受けたのは久しぶりだ。



評価:AA



小説の感想記事が五十回を越えたので模様替えしてみた。
前のテンプレも好きだったが、これもなかなかシンプルでいい。




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Edit / 2009.03.19 / Comment: 5 / TrackBack: 1 / PageTop↑
失はれる物語
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「ボクはパンツくんだ! ヨロシク!」


第五十回。
乙一の『失はれる物語』
全八篇の短編集。
全体的に儚く優しい感じで、白乙一、黒乙一の分類で言えば、白乙一よりの作品が多いように思う。

「Calling You」

友達のいないリョウが、頭の中に作り出した携帯電話にある日突然シンヤという少年から電話がかかってくる。
二人は仲良くなり、直接会うことになったのだが……。

まず設定が凄い。
頭の中に作り出した携帯で会話するというのは、ちょっと普通では思いつかない設定だ。
こういう斬新な設定をぽんぽん出してくる乙一は凄いな~と思う。

もう一人の頭の中の携帯の持ち主の原田さんの正体もね、すごくいい。
ベタといえばベタだが、でもこれ以外の正体はないだろう。

「失はれる物語」

表題作。
交通事故により、右腕の触感以外の全ての五感を失った主人公。
わずかに動く人差し指だけしか他人とコミュニケーションをとる手段はない。

これも凄い。
考えただけでもぞっとしない。
見えない、聞こえない、臭いも味も触感もわからない。
外界と完全に遮断されているのだ。
これは本当に怖い。

最後の余韻も素晴らしい。
優しくて、綺麗で、そして哀しい。

「傷」

クラスメイトを殴ったことで特別学級に入ることになった主人公。
そこに転校していたアサトは他人の傷を自分に移し、またそれを他人に自由に移せる力を持っていた。

少し黒乙一よりだろうか。
虐待を受ける子ども、周りに溶け込めない子どもは乙一が好んで扱うテーマだ。

シホのことはかなり心に来た。
乙一はこういう「本当に酷いこと」を描くのが上手い。
しかもさらっと出してくるから質が悪い。
でも救いのある最後でよかった。

「手を握る泥棒の物語」

旅館の壁に穴を開けて、中の物を盗もうとした主人公だが、誤って女の手首を掴んでしまったのだが……。

この設定も凄いと思う。
膠着状態なのだが、どこか間が抜けてる。
また最後がいいんだわ。
かなりお気に入り。

「しあわせは子猫のかたち」

前の住人が殺された家で一人暮らしをすることになった主人公だが、家の中には自分以外の人間の影が……。

こういう風なあらすじなら、幽霊物のホラーだと思うだろうが、そんなことはない。
ものすごくほのぼのしている。
主人公と雪村のやり取り(やり取りというほどのことはしていないが)が微笑ましい。
というか雪村の行動が、か。
大岡越前と落語が好きで、写真が趣味の女子大生。
渋すぎる。
また、恐怖の書置きの『わたしもラーメン食べたかったよう』のくだりの可愛らしさはただ事ではない。
ただ、それでも死んだ人間と生きた人間は決して触れ合うことはできない。
切ない。

ミステリー仕立てではあるが、別に意外な犯人というわけでもない。
むしろ子猫のくだりがびっくりだ。

これも終わり方がいいな~。
こう、何と言うか、凄いほろ苦い気持ちというか、そんな感じになる。

「ボクの賢いパンツくん」

「しあわせは子猫のかたち」の次にこれを持ってくるとは。
笑わざるをえない。
完全に脱帽である。

「マリアの指」

一人の女性が電車に轢かれて死んだ。
恭介はひょんなことからその指を手に入れる。

これもまた、重いな。
ミステリーとなっているが、犯人は完全にわからなかった。
不覚。

「ウソカノ」

安藤夏という彼女がいると嘘をついてしまい、嘘に嘘を重ねるうちに、頭の中で、安藤夏はリアリティを増し、会話ができるほどになっていった。

バカけた題材だし、落ち着いて考えれば、ちょっと危ない奴でしかないのだが、それを大真面目に正面から書いたら、これがなかなかどうして、切ないじゃないか。


総じて、締め方の上手い作品が多い。
これは乙一の特徴だろう。

いじめだとか、周りとなじめないだとかいうのは乙一本人の経験だろうか。
何と言うかある種病的なものを感じる。
だが、そこがまた魅力でもある。



評価:AA



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Edit / 2009.03.11 / Comment: 3 / TrackBack: 3 / PageTop↑
バースデイ
カテゴリ: 鈴木光司 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第四十九回。
鈴木光司の『バースデイ』

作中で描かれなかった部分や、生前の山村貞子、『ループ』の後の礼子を描いた三つの短編が収録されている。

「空に浮かぶ棺」

作中では描かれなかった、高野舞が貞子を出産するシーンが描かれる。
正直これと言って感想はない。
生まれてすぐにそんなに運動能力があるのかとは思ったが。

「レモンハート」

生前の山村貞子が描かれている唯一の作品。
生きてるときからこんなだったのか。
そして遠山も殺すのか。

「ハッピー・バースデー」

これでリングシリーズはハッピーエンドってことなんだろうけど。
ここまで来るとやっつけ仕事の疑いすら出てくる。
色々と矛盾らしきものも出てくる。
後付なんだからしょうがないんだろうけど。
貞子の最後もあっけないし。

まあ、『ループ』の時点で蛇足なんだから、それにさらに蛇足を付けたら、ねえ?
その質は推して知るべし。

シリーズ物でここまで酷くなるのは珍しい。
後付設定を力技で辻褄合わせた『らせん』が凄すぎただけってことかな。



評価:C-



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Edit / 2009.03.10 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ループ
カテゴリ: 鈴木光司 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第四十八回。
鈴木光司の『ループ』

リング三部作の完結編、という位置づけの作品。
『バースデイ』は外伝的な位置づけだろうし。

内容については、何と言うか、評価の難しい作品だ。
面白いか、面白くないかで言えば、面白かった。
現実の定義、生命体の起源など扱っているテーマも面白い。
問題はホラーではない、ということだ。

『らせん』はまだ半分くらいはホラーだった。
だが『ループ』は完全にSFだ。
もちろんSFが駄目というわけではない。
ただ、やはりリングシリーズとはホラーなんじゃないのかなと思う。
ホラー以外の要素が絡むのはむしろ歓迎だけど、全くホラー部分がなくなってしまうのはちょっと。
作者のジャンルにこだわらない姿勢がこういう作品を生み出したんだろうけど……、う~ん。
これ、もう貞子とか関係ないじゃん。
チラッと名前が出てくるだけだ。

それに、この種のネタをシリーズ物でやるのはやっぱり反則じゃないかと思う。
夢オチに近いずるさだ。
『リング』『らせん』は仮想世界の出来事だったなんていわれてもな~、。
いや、もちろんそんなに単純な話しじゃないことはわかっている。
わかっているんだけど、これをリングシリーズでやる必要はあったのだろうか。
別の作品としてやるべきじゃなかったのか。
『らせん』で終わってた方がよかったんじゃないのかな~。

最後の高山竜司のくだりについてもあれは後付けの設定だと思うし。
ちょっと無理がある感じ。
同じシーンを別視点から描く構成は好きだけど。

あと、内容とは関係ないのだが、解説が非常に不快だった。
彼は一体何様なのだろうか。

最後に揚げ足取り。
貞子は竜司を生んだ時点で処女じゃないはず。
『らせん』で浅川と交わってたはず。


単体の作品としてみれば面白かったけど、リングシリーズとして考えれば蛇足なのではないかと思う。

追記。
あ、よく考えたらなぜ貞子の事件が起こったのかが明らかにされてなくないか?



評価:B+



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Edit / 2009.03.08 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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