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半分の月がのぼる空8 anogher side of the moon-last quarter
カテゴリ: 橋本紡 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 やがて顔を上げた里香は、嬉しそうに笑っていた。


第二百九回
橋本紡の『半分の月がのぼる空8 anogher side of the moon-last quarter』

文化祭二日目。
とうとう舞台に上がることとなった里香。
その幕が上がった時、夏目にそそのかされた裕一もまた舞台へと向かう。

とうとう最終巻である。
名残惜しいがこれで最後だ。
とはいえ本編はすでに終わっているので、そこまで盛り上がりはないが。

この巻もコメディ要素の強い話が続く。
できれば、半分の月の、総決算のような内容のものが一編欲しかった所ではあるが。
まあ、「雨 fandango」がそうなのだろうけど。
できれば本物のドレスを着た里香の話が見たかったなあ、と。
もっと言ってしまえば、里香の最後と、その時の裕一を読みたかった。
さすがにこれは蛇足になってしまうのだろうな。
でも、読者としては読みたいなあと思ってしまうのである。
せめて、本編の少し後の時間軸とかだけでも読みたかった。

さて、総括しておこう。
とてもいい物語だったと思う。
ライトノベルというだけあって軽く読みやすい文章。
しかし、決して軽くはない内容。
そのどちらもが良かった。
焦点をほとんど裕一と里香に絞っているのも良かった。
これは作者の言う通り、一人の少年と一人の少女の物語なのだ。

そういえば、アニメ化、ドラマ化、実写映画化までしているらしい。
夏目が大泉洋というのはちょっと合ってないんじゃないかと思ったけど。


評価:A


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Edit / 2013.04.16 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
半分の月がのぼる空7 another side of the moon-first quarter
カテゴリ: 橋本紡 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「幸せだったと思うよ」


第二百八回
橋本紡の『半分の月がのぼる空7 another side of the moon-first quarter』

里香にとって初めての文化祭。
僕はあまりやる気がなかったが、その頃里香は見学に行った演劇部でスカウトされてしまい……。

短編集である。
しかし、演劇部でスカウトとはまたベタな。
七巻に収録されているのは前篇だけだが、後編の展開も何となく読めた気がする。
まあでも王道いいじゃないか。

とはいえやっぱり本編よりは何と言うかまあ一枚落ちるな。
緊張感がないというか。

亜希子さんの話はいいな。
何だよ乙女じゃないか。

まあ基本的には力の抜けた話が多い。
本編完結後のおまけみたいなものだしな。


評価:B


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Edit / 2013.04.15 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
半分の月がのぼる空6 life goes on
カテゴリ: 橋本紡 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「オレやおまえみたいなバカには、わからねえんだ!」


第二百七回
橋本紡の『半分の月がのぼる空6 life goes on』

里香が退院した。
そして、僕と同じ高校に入学することとなった。
穏やかで、普通の高校生活。
しかしてその裏で、とある事態が進行していたのだった。

本編完結となる第六巻。
残りの二巻は短編集となるようだ。
となると八巻の表紙はフェイクか?
それとも?
まあそれは読んだらわかることだ。

正直里香が退院することになるとは思わなかった。
てっきりずっと入院したままの生活なんだとばかり思っていた。
その予想は当たらなかった訳だが、でも当たらなくてきっと良かったのだ。

私は最初夏目があまり好きではなかった。
まあ何というか、大人げなかったからだ。
もちろん、大人が、子供が思っているほど大人ではないということくらい知っている。
それでも大人は大人であろうとすべきだと私は思うのだ。
特に子供の前では。
夏目はきっと、それを放棄していた。
でも、きっと過去の自分を裕一の中に見るうちに、そして裕一が少しずつ、でも確かに成長していくのを見るうちに、夏目も変わっていったのだ。
だからこの巻の夏目は格好いい。
失った夏目が、いつか失う裕一に語る言葉。
綺麗事だけを口にする訳ではなく、残酷な現実もしっかりと見つめながら、自分と同じ道を行こうとしている裕一に、大人として言葉を贈る。
いいじゃないか。
それを裕一が素直に受け取らないというのもいいよなあ。
どれだけ覚悟したって、里香を失った時、裕一は打ちひしがれるだろう。
ひょっとしたら、立ち直れないかもしれない。
夏目はそれを、経験として知っていて、裕一は、まだわかっていない。

そう、里香の手術は成功したが、それでも里香はきっと三十歳までは生きられない。
体の負担を考えれば、子供を作ることもできないだろう。
裕一は、必ず里香を失う。
でも、本当はそれは里香や裕一に限ったことではないのだ。
誰にだって、明日が約束されている訳ではない。
そう、私にだってあなたにだって。
それはもう確率の問題でしかなく、誰だって明日死ぬということはあり得るのだ。
ひょっとしたら、裕一の方が先に死んでしまうかもしれない。
里香は、病気とは別の理由で死んでしまうかもしれない。
永遠を手にすることは、命を持つ我々には、できないことなのだ。
だからきっと、大切なのは選ぶことだ。
大切な人といることを。
大切な人を守ることを。

甘いだけじゃなく、確かに苦さも含まれている。
青春とはきっとそんなものだ。


評価:AA+


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Edit / 2013.04.14 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
半分の月がのぼる空5 long long walking under the half-moon
カテゴリ: 橋本紡 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「終わりがいつかわからないって……終わりが来るまでずっと続くって……どうしようもなく続くって……わかってると思いますか」


第二百六回
橋本紡の『半分の月がのぼる空5 long long walking under the half-moon』

僕と里香に訪れた穏やかな日々。
ある日僕は夏目に連れられて浜松へと向かう。
そこで会った夫婦を見た僕は自分の歩むであろう道を知る。
そして僕と里香は再び砲台山へと登る。

いやあ、いいなあ。
青春だなあ。
堪らんな。

里香のついた嘘にはすぐに気付いた。
さすがにね。ここまで来てそれはないよ。
でもまあ裕一の立場なら騙されちゃうんだろうなあ。

裕一の覚悟がいい。
裕一は自分がわかっていないことをわかっている。
その上で、わかろうとしている。
それが、凄く、いい。
自分の無力さを理解し、そして里香に時間がないことも理解し、それでも一緒にいることを選んだのだ。

キスシーンってのはいいものだな。
青春恋愛ものの全てがそこに凝縮される。

作者の当初の構想ではここで完結だったらしい。
だから、あのペースで物語が進んでいったのか。
確かに区切りのいいところではあるが。
でもそれだと少し物足りなさが残るかな。
私は後日談肯定派なのでこの後も楽しみなのである。


評価:AA+


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Edit / 2013.04.10 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
半分の月がのぼる空4 grabbing at the half-moon
カテゴリ: 橋本紡 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「それもわかってる」


第二百五回
橋本紡の『半分の月がのぼる空4 grabbing at the half-moon』

里香の手術が終わった。
僕は里香に会うことを禁じられた。
そしてついに夏目の過去が語られる。
一方半分の月と、未来の自分に背中を押された僕は……。

中盤の山場といったところか。
予想とは違い、夏目は過去を振り切ることなく里香の手術に臨み、そして成功させる。
しかし、里香の病気は手術が成功すればそれでいいというほど単純なものではなく、裕一もそれを覚悟したうえで決死の行動にうつる。
それは、必死で、惨めで、格好悪くて、でも、格好いいのだ。

夏目の過去についてはまあ予想通りだった。
完全に吹っ切れないというのも人間らしいじゃないか。
何もかも割り切って進むことなどできはしないのだ。
私の予想より、こっちのほうがよっぽどいい。

突然未来に視点が移った時は、夢オチだとわかっていても、それでも胸が締め付けられるようだった。
夢だとわかってほっとしたよ。

亜希子さんはいいなあ。
こういうキャラクターって大体ふまじめな態度とは裏腹に有能だったりするのだが、そんなこともなく、どっちかといえば駄目な方である。
その辺の人間臭さもいい。
この人間臭さというのは、橋本紡の根底にあるテーマなのかもしれない。
人は失敗する。
間違える。
傷つける。
どうしようもなくて、でも、それでも。
そういうものがある気がする。

これで折り返し地点だ。
どういう結末を迎えるのか予想がつくようなつかないような。
ただ八巻の表紙を見る限りではまあ、そう言う結末になるのかな、という感じ。
表紙で展開のネタバレをするのはいただけないが。


評価:AA


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Edit / 2013.04.08 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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D:ん~、微妙
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