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ラブソングが歌えない
カテゴリ: 喜多嶋隆 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百六十九回
喜多嶋隆の『ラブソングが歌えない』

プロのミュージシャンを目指す僕、水町涼は将来を期待されるピアニスト、悠子に出会った。
次第に心を通わせる二人。
だが、二人の恋路にやがて暗雲が立ち込める。

タイトルと表紙が気に入って買ったものである。
こういう、ちょっと詩的な口語調のタイトルは結構好きなのだ。
そして、人生のほろ苦さと青春のきらめきを描くと謳っている。
結構期待していたのだ。
しかし見事に裏切られた。

色々と不満点はあるのだが、まず、凄くくさい。
タイトルが詩的なのはいいのだが、本文も詩的だ。
しかも詩的過ぎる。
読んでる方が恥ずかしいというか、失笑ものというか、そう言う文が散見される。
特に主人公の作詞した歌詞なんかもう直視できない。
センスなさすぎるだろうこれは。
しかもこれが評価されるのだ。
ひー。

次に、人物の薄っぺらさだ。
主人公とヒロイン以外の人物に存在価値が感じられない。
何というか記号としてしか存在していないというか。
こういう立場の人間が必要だから登場しましたと言うだけで、中身が全くないのだ。
例えば主人公はバンド仲間を、軽薄な気持で音楽をやっている訳ではない仲間として信頼しているらしい。
しかしその裏付けが全くない。
確か、主人公とヒロインが一発かました後、そのことで主人公をからかうみたいなシーンがあって、そこにヒロインが現れたから、バンド仲間は空気読んでその話題を止めて、それでこいつらとはうまくやっていけると確信したみたいな、ってあほかーい。
そんなもん誰でもそうする。
そんなことで強い信頼を感じられても何の説得力もない。

あと、ヒロの存在意義が全く分からない。
主人公との関係は、恋愛感情なしのセックスをする仲だ。
ようはセフレである。
なんか凄いサーファーらしいです。
そう言う肩書を持った相手と快楽だけのセックスをする主人公がかっこいいということを言いたいために存在しているように感じた。
しかも恋愛感情とは別とか言ってたのに、ヒロインが現れたらヒロとはバイバイである。
何かこの辺も主義が一貫していないというか。
フェードアウトした後何のフォローもないし。

じゃあ主人公とヒロインはしっかり掘り下げられているかというとそんなことはなく、しっかりと薄っぺらいのである。
(ありがちな)孤独な過去を背負った主人公は、同年代のくだらない奴らとは違う、らしいが、周りを見下し、自分が特別だと感じることこそ、その年代にありがちな普通の奴である。
そういう若さを描いているのかもと思ったが、作者的にも主人公は特別な奴で、くだらない凡夫どもとは一線を画しているという設定らしい。
ひえー、寒い寒い。

ヒロインについては、ずっとピアノにだけ打ち込んできた天才少女が、ピアノ以外の人生に目を向けると言う感じなのだが、まあ、ありがちではある。
それだけにどう料理するかが問われると思うのだが、これがひどい。
これは作中を通して言えることだが、クラシックが悪いという訳じゃないと口では言っていても、明らかにクラシックをディスっている。
何かを持ちあげるために、他の何かをディスるというのは下の下だろう。
作者はクラシックに何かコンプレックスでもあるのだろうか。

そして、クラシックに戻るか主人公達とのバンドを続けるかで迷うヒロインに主人公は悩んだ末(この悩み方も実に薄っぺらい)クラシックに戻るように言う。
音楽と心中するとか言ってたのに……。
と思ったらやっぱ連れ戻したくなってニューヨークへ。
ええ~。
この辺の葛藤とかも全く書かれていないので、主人公が自分勝手で情緒不安定にしか見えない。
そこら辺は若さ故かとも思ったが、本人がそういう若さを否定してるからな~。
そして(多分ドラマチックにするために)凍死寸前になるまでヒロインを探した主人公は、都合のいいタイミングで、自分とヒロインが作った曲がピアノで弾かれているのを聞く。
そして再会して、バンドも大成功、めでたしめでたしである。

本当に何もかもが薄っぺらい。
デビュー作とかかとも思ったが、結構キャリアがあるっぽい。
本当にプロの仕事かこれ。

あと、夢に敗れた人の人生は失敗じゃないということを描きたかったらしいのだが、むしろ逆の印象を受けた。
夢を諦めて普通の幸せを選んだ人間をディスりまくってないか?

まあとにかく大外れだった。
喜多嶋隆は、二度と買わないリストに入りました。


評価:E


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(2011/08/25)
喜多嶋 隆

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Edit / 2012.06.08 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
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Author:gaker
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2008 11/13(木)開設

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