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ふたりの距離の概算
カテゴリ: 米澤穂信 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

手はどこまでも伸びるはず。


第二百二十二回
米澤穂信の『ふたりの距離の概算』

奉太郎達は二年生となり、古典部にも新入生が入部した。
しかし彼女は、えるとの会話が原因で入部を止めてしまう。
納得できない奉太郎はマラソン大会の最中、その真相を推理する。

古典部シリーズ第五弾。
奉太郎達に後輩ができる。
その後輩、大日向友子は、明るい少女だが、少しばかり癖がある。
まあ登場人物みんな癖があるのだが。

奉太郎も随分と変わったものだ。
丸くなったというか。
そしてえるのことを意識しているのも伝わる。
家に来たの来ないののくだりなんかは甘酸っぱいではないか。

なんというかこのシリーズは奉太郎の成長物語でもあるのだなと思った。
もちろん奉太郎以外の面々にもスポットは当たるのだが、やはり主人公の奉太郎の割合が一番大きい。

シリーズを通してだが、万事解決ハッピーエンドという訳ではなく、少しばかり苦いものが残る。
まあミステリなのだから当たり前かもしれないが。
青春の部分と相まって、その苦さがまた引き立つのだ。

最初に引用した、終章のタイトルでもある「手はどこまでも伸びるはず」という一文が好きだ。
この手の文章は凄く好みなのである。


評価:A


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(2012/06/22)
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Edit / 2013.08.10 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
遠まわりする雛
カテゴリ: 米澤穂信 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 それは要するに、こういうことなのだ。


第二百二十一回
米澤穂信の『遠回りする雛』

古典部シリーズ第四弾は短編集である。
例によって、日常における謎を奉太郎が解き明かしていく。
最初の頃に比べると奉太郎もだいぶめんどくさがらなくなってきた。
えるにたいして諦めたとも言えるし、それ以外の感情があるとも言える。

奉太郎達が入学してからの一年間を描いているので、時間が進むごとに、登場人物たちの心情にも変化がみられる。
例えば里志。
摩耶花のアプローチをはぐらかし続けている里志だが、そのことが原因で少し事件が起こったりする。
しかしめんどくさい奴め。
だが、今回はただはぐらかすという感じではなかった。
里志も色々考えてはいるらしい。

そして、奉太郎も然りだ。
今までは曖昧だったが、もうこれはえるに対して恋愛感情を抱いていると言って差し支えないだろう。
まあ、「青春」ミステリなのだ。
主人公が恋をしなくてどうするのだ。

摩耶花は健気である。
これだけすげなくされて、よくもまあ諦めずにアタックし続けるものだ。
嫌いではない。

えるは、よくわからない。
天然なのだろうが、奉太郎のことをどう思っているのやら。
シリーズの終わりには何かしらの結論は出るのだろうか。

いやはや面白かった。
初詣、バレンタインなど高校生のイベントをきっちり描いている。
クリスマスを外したのはこの先書く予定があるからか。
しかし、納屋に閉じ込められるというのはべただ。
面白いからいいのだが。

奉太郎の一人称にもすっかり慣れた。
最初は少しうっとうしく感じてしまったのだが、今では結構好きである。


評価:A



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Edit / 2013.08.04 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
クドリャフカの順番
カテゴリ: 米澤穂信 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「データベースは結論を出せないんだ」


第二百二十回
米澤穂信の『クドリャフカの順番』

ついに始まった神山高校文化祭。
だが、古典部では文集を刷りすぎてしまうという問題が発生していた。
その頃学内では妙なものが盗まれる事件が発生していた。
この事件を解決して古典部の知名度を上げ、文集の完売を目指すべく奉太郎達は事件の謎へ挑む。

古典部シリーズ第三弾。
今までは全て、奉太郎の一人称だったが、今作では奉太郎以外の古典部員の視点でも描かれている。
中でも里志の微妙な心情は非常にいい。
凄い友人を持つと、それを誇らしく思う気持ちと、自分だってという反発心の両方が矛盾なく両立することがある。
これは、多分、里志が言うように男特有のものなのだろう。
里志の抱く諦めは、苦い。

才能、というものが一つ、古典部シリーズのテーマなのかもしれない。
『愚者のエンドロール』においても、扱われていた。
才能という言葉で全て片付けてしまうのは好きではない。
しかし、才能というものは確かに存在する。
ただ、スペシャリストだけが才能ではないと思うが。
ジェネラリストも重宝される才能だ。
器用貧乏というとマイナスイメージだが、個人的には一芸しかない奴よりは使えると思うのだ。
とはいえそれでも人はスペシャリストに憧れるものだ。

しかし、里志は色々とめんどくさい奴である。
摩耶花のことを憎からず思っているのは明らかなのに、その気持ちに応えることはしない。
何かしら思う所があってのことなのだろうが。
しかし、こと恋愛が絡むとめんどくさくなる奴というのは実際にも多々いる。

何だか内容にあんまり触れていないが、面白かった。
個人的には『愚者のエンドロール』の方が好きであったが、今作も十分に水準以上であった。


評価:B+


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Edit / 2013.07.27 / Comment: 0 / TrackBack: 1 / PageTop↑
愚者のエンドロール
カテゴリ: 米澤穂信 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「誰でも自分を自覚するべきだ。でないと。……見ている側が馬鹿馬鹿しい」


第二百十七回
米澤穂信の『愚者のエンドロール』

解決編が存在しない文化祭に出展されるミステリーの自主製作映画の結末を当てて欲しいと、上級生の入須に依頼された、奉太郎達古典部。
気乗りしない奉太郎だが、千反田えるに押し切られる形でその依頼を受けることとなった。
果たしてその真相とは。

氷菓が微妙だったからあまり期待せずに読んだ古典部シリーズ第二弾。
いやはや、面白かった。
奉太郎の語りもあまりくどく感じなかったし。
何より奉太郎のチョロさに好感を持った。
入須にころっとだまされ、上手いこと使われる様はとてもミステリーの主人公とは思えない。

何というか『インシテミル』を読んだ時も思ったが、米澤穂信は骨の髄までミステリー作家なのだなと思った。
割と好感が持てる。

しかし、入須の言うことは、彼女の本音ではなかったが、本質をとらえているように思う。
私は自分の能力を正しく把握している人間が好きである。
過剰な謙遜は正直煩わしい。

これで一気に続きが楽しみになった。
ある程度原作を読んだら、ツタヤでアニメも借りて見てみようか。


評価:A


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(2002/07/31)
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Edit / 2013.06.30 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
インシテミル
カテゴリ: 米澤穂信 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「……空気の読めないミステリ読み、だそうだ」


第百九十八回
米澤穂信の『インシテミル』

時給十一万二千円のバイト。
その内容は「ある人文科学的実験の被験者」になることだった。
様々な思惑を持ってこのアルバイトに応募してきた十二人の男女。
彼らは「暗鬼館」と呼ばれる地下施設に閉じ込められ、このアルバイトの内容を知る。

さて、「氷菓」を読んでいまひとつだと思った米澤穂信である。
だが、他の作品は面白いという話だったので、とりあえず映像化もされた有名どころのこれを読んでみた。
結果から言えば、かなり面白かった。

衝撃的な(読者にとっては予想通りの)バイトの内容が明らかになっても、一部を除き一同は冷静だった。
まああのリアクションが現実的な所だろう。
しかし銃で撃たれた死体が見つかったことにより、一同は疑心暗鬼に囚われる。

この辺はお約束というか。
強く本格を意識しているのが分かる。
いや新本格になるのかな。

登場人物に様々なバックグラウンドが見え隠れする。
だがそれを掘り下げることはしない。
あくまでも事件とその解決が本筋であり、登場人物たちはその駒にすぎないというスタンスなのだろう。

そしてラストがまたいいではないか。
続編をうかがわせる終わり方。
だが恐らく続編が書かれることはないのではないかと私は思う。

なにはともあれ面白かった。
推理をしながら読むには少々登場人物が多すぎたのが難点といえば難点か。
まあもともと私はあまり推理をしながら読むことはしないのだが。


評価:B+


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Edit / 2013.03.10 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

評価基準
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D:ん~、微妙
E:読み進めるのが苦痛
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