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星に願いを、月に祈りを
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

〝どうか君の夜空に、優しい星が流れますように〟


第二百十八回
中村航の『星に願いを、月に祈りを』

アキオ、大介、麻里は学童キャンプでホタルを見るために夜に宿を抜け出した。
そこで三人は、ラジオから流れる謎の番組を聞く。
アキオは中学生になり野球部に入り、そして先輩の里崎さんに恋心を抱く。
その想いを告げることなく高校生になったアキオは、再び謎のラジオを聞き、そして……。

何といってもまず題名である。
何と魅力的で私好みのタイトルだろう。
『星に願いを、月に祈りを』
いやあ、いいなあ。

さて、内容だが、期待したほどではなかったというのが本音か。
十分に面白くはあったのだが、題名でハードルが上がりすぎていた。
残念ながらそのハードルを越えることはできなかった。
また、少しミステリー部分があるのだが、その謎が予想の範疇なのも少しマイナスポイントか。
いや、あるいは中村航は意図的にそうしているのかもしれないのだが。

ちなみに、この物語の主役は大介でもなくアキオでもなく、恐らくは掌ほたるである。
そうである以上、第一章と第二章はプロローグであり(あるいは第二章はエピローグかもしれない)、第三章に入ってからが本番である。
掌とミニーの不思議な交流。
でも二人の正体はなんとなく読者には想像がつく。
あるいはミニーについては二通りの予想があるかもしれない。
だが、ミニーの登場時のこと、そして彼女の名前を考えれば答えは一つだ。

相変わらず、中村航の文章はいい。
優しく、どこまでも優しい。
彼が描くのは徹底的に悪意が排除された世界だ。
でもきっとそれをするためには、悪意を覗かなければならない。
その上で、ピンセットを使って丁寧に悪意を取り除いているのだ。

『100回泣くこと』が映画化されるようだが、私としてはあれが中村航の代表作だとされるのはやや疑問がある。
割とありがちな、お涙頂戴の話(もちろん中村航独特の味は出ているのだが)だからだ。
あえてそうしたのだろうと思うのだが、他の作品の方が絶対面白いよなあ。


評価:A-


星に願いを、月に祈りを (小学館文庫)星に願いを、月に祈りを (小学館文庫)
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Edit / 2013.07.06 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
さよなら、手をつなごう
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 じゃあ行くよ。サヨナラだけが人生だろ?


第二百一回
中村航の『さよなら、手をつなごう』

いつだって必死になって、誰かに恋をして。
そんな青春の一ページを切り取った短編集。

「幻視画」
短編というよりも掌編
でもこの雰囲気は好きだなあ。
凄く中村航っぽい。

「インターナショナル・ウチュウ・グランプリ」
これが一番好きかな。
バカなことに大真面目に取り組み、見果てぬ夢を見た小さな頃。
いや、いいなあ。

「さよならマイルストーン」
少し不思議で、少し甘くて、そして少し残酷な物語。
大好きなあの人は、平凡な自分ではなくて、モデルみたいに可愛いあの子と仲良くしているという現実。
その現実をマイルストーンが変えてくれる訳だけど、魔法が解けた時の蒼くんのリアクションが胸に刺さる。
青春ってのは甘いだけじゃあないんだよなあ。

「女子五編――UDON KINGが採譜した五つのメロディ――」
これもなかなか良かった。
個人的には主人公は男の方が好きだけど。
でも、甘酸っぱくて、青春しちゃってていい。

「さよなら、ミネオ」
これは少し毛色が違う。
ちょっと乙一っぽいかな。
誰もが物語に出てくるような青春を送れる訳じゃない。
青春の苦い側面を切り取っている。
憧れのあの子が、つまらない男に引っかかるなんてのはよくある話で。

「ぱぐ ぐぐぐ」
味がある、の一言に尽きる(笑)

中村航の作品は、基本的に優しさに満ちた世界という印象が強かった。
無論それだけではないのだが、根底に流れているものは間違いなく優しさだったと思う。
だが今作は少し毛色の違うものも混じっている。
個人的には優しい世界の方が好きではあるのだが、胸に引っかかるこの苦さも嫌いではないのだ。


評価:B


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Edit / 2013.03.31 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
絶対、最強の恋のうた
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

浮かれ気分なシナモンロールみたいに自慢に思っている。


第百八十回
中村航の『絶対、最強の恋のうた』

浪人生活を経て、予備校の仲間と夜の交差点で胴上げをした僕と、カナリヤのような中学時代と、クールな弓道部だった高校時代を過ごした彼女は、十月に出会い、熱に浮かされたような日々の後、穏やかな恋を育んだ。
坂本は飯塚さんに恋をし、僕と一緒に木戸さんの家で鍋を食べる。
そんな生活を送る僕と彼女の恋の行きつく先は?

さて、また中村航だ。
これまたキャッチーなタイトルである。
いいなあ。
好きだなあ、こういうタイトル。

物語は前半は僕、後半は彼女の視点から語られる。
そして最終章はまさかの坂本である。
坂本といえば、『僕の好きな人が、よく眠れますように』で木戸さんが使っていた偽名だ。
作品間のリンク、好きだなあ。
重要な部分がリンクしているのも好きだが、こういうどうでもいい部分が繋がっているのも好きだ。

中村航の文章が好きだ。
何と言うか、センスがいいと思う。
ちょっとした言い回しとか、マリンスポーツを目の敵にするところとか。
優しく、穏やかな文章だ。

それにしても、結局世界三大美徳は礼儀とあと何なのだろうか。
『夏休み』辺りで出ていた気もするが忘れてしまった。二つ目は仲良しでいいのかな。
まあこれはそれぞれが決めればいいことのような気もする。

最後の坂本のエピソードもいいんだよなあ。
奥手すぎる坂本。
でも木戸さんの魂を受け継ぐ坂本はサーファーのモトカレを許しはしないのだ。


評価:A


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Edit / 2012.10.29 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ぐるぐるまわるすべり台
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「仕事はきっちりとする。女子はきっちりと笑わせる」


第百七十八回
中村航の『ぐるぐるまわるすべり台』

大学を辞めた僕は、塾講師のバイトをしながらバンドのメンバーを募集する。
生徒のヨシモクはは固まり、僕はその間色々なことを話す。
やがて集まったバンドのメンバー。
結成されたバンド狛犬(仮)の行く末は。

また中村航である。
後文庫化されているのは二つか。
一つはもう手に入れている。

さて、今作だが、長編と呼ぶには少々量が短い。
ただでさえ薄い本の半分程度しか本編がない。
これはもう短編か中編と呼ぶべきだろう。
残りはカップリング作となっている。
CDのような作りとなっているわけだ。
それは勿論この作品が音楽を一つのテーマとした作品だからだ。

僕、こと小林はなかなか煮え切らない男だ。
大学を辞めて、自分が中心となって結成したバンドに自分は参加しなかったり、何となくつかみどころがない。
ふわふわしているのだが、好感が持てる。
中村航の描く人物はみんなそんな感じだ。

ところで冒頭に引用した台詞だが、他の作品でも使用されていた気がする。
『あのとき始まったことのすべて』だっただろうか。
ちょっと思い出せない。
でも、いい台詞じゃあないか。
正しいよ、哲郎と千葉は絶対に正しいよ。

「なんかいい」という、とても曖昧な褒め言葉がこれほどあてはまる作家も珍しいように思う。
もちろん具体的にいいところを上げていくこともできるのだが、結局は「なんかいい」という結論に落ち着く。
今作も当然、「なんかよかった」のである。


評価:A


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Edit / 2012.10.07 / Comment: 4 / TrackBack: 0 / PageTop↑
あのとき始まったことのすべて
カテゴリ: 中村航 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「あのね、好きな人のパーカーのフードには、何か入れたくなるんだよ」


第百七十六回
中村航の『あのとき始まったことのすべて』

社会人としてようやく新人の看板が取れてきた僕は、10年ぶりに中学の同級生の石井さんと再会した。
再会してすぐに当時の距離感を取り戻した僕と石井さん。
そして一夜を共にした二人だが……。

うん、やっぱりいいな。
相変わらずタイトルもいい。

中村航の作品には男女がくだらないことを延々と言い合いシーンがよくある。
私はそれがすごく好きだ。
今作の場合はポケットに入っているものだ。
それは、“ほのかな恋心”や“不確かな未来”だったりする。
ばかばかしくもなんだか何かの核心をついているような気もする。
でも何の核心をついているのかはよくわからなくて、自然と笑ってしまうようなそんな感じだ。

ただ、今作で、僕と石井さんが上手くいかなかったのは、石井さんが遠距離恋愛が無理だという一点につきる。
それって何ていうか、頑張り次第で何とかなることなんじゃないかと思ってしまう。
いや実際にはそれが原因で別れる人たちはたくさんいるのだけど。
上手くいってほしかったなあと思ってしまうのだ。
それはそれだけ物語にのめりこんだということの裏返しでもあるのだけど。

中村航の描く人物がすごく好きだ。
少し変わっていて、愉快で、のんきで、切なくて。
読めば読むほどいい作家だなあ。


評価:A+


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Edit / 2012.09.03 / Comment: 2 / TrackBack: 0 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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