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ZOO2
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十八回
乙一の『ZOO2』

六編が収録されているが『ZOO1』に比べると見劣りする感は否めない。

だが、最後の「むかし夕日の公園で」はその中でもきらりと光る。
よくもまあの短さの中で、ぞっとさせ、そのうえ予想を裏切ってみせてくれたものだ。

「落ちる飛行機の中で」はアイディアは凄いと思った。
が、尻すぼみな感じがした。
最後は少し切ないか。

他は、う~ん。
「神の言葉」は『僕のメジャースプーン』を思い起こさせられた。
後味の悪さは比じゃないが。

ん~、やっぱり「ZOO1」がすごかった分、少し拍子抜けしてしまった部分はある。
つまらなくはなかったが。


評価:B


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乙一

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Edit / 2011.06.18 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
ZOO1
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

 中から、姉の笑い声が聞こえた。高く、劈くような声だった。


第百二十七回
乙一の『ZOO1』

ジャンル分け不能の短編集『ZOO』から、映画化された五編を収録した一冊。
いや、これは凄い。
天才と呼ばれる訳だ。
初めて読んだのは随分前だが、今回再読して改めてそう思った。


「カザリとヨーコ」
同じ容姿を持つ双子の姉妹、カザリとヨーコ。
しかし姉のヨーコだけが、母親から虐待を受ける。

しょっぱなから飛ばしている。
母親から虐待を受け、妹からも侮蔑の目で見られ、それでも妹のカザリを愛するヨーコ。
この時点で十分に歪んでいるのに、これがヨーコ視点の一人称だと言うのがやばい。
ヨーコの軽妙な語り口と、実際に起こっていることとのギャップがもうね。
そして乙一はヨーコに救いの手を伸ばし、持ち上げてから、その手を引っ込め、落とすのだ。
これがまたえげつない。
そして全く救いのないラスト。
にもかかわらず明るいヨーコ。
もうほんとやばい。


「SEVEN ROOMS」
謎の殺人鬼に拉致監禁された姉弟。
脱出することはできるのか。

「1」、「2」を合わせてもこれが『ZOO』の中でベストだろう。
直接的にスプラッターな話だが、そこはそんなに問題ではない。
何といっても圧巻のラストだ。
犯人の正体も明らかにはならないのに、裏をかかれたという訳でもなく、予想できるラストなのにこの衝撃。
そして凄まじい後味。
いやはや、これはすごい。


「SO-far そ・ふぁー」
ある日突然、父は母を、母は父を認識しなくなった。
お互い、相手は列車事故で死んだものだとぼくに話す。

これはタイトルが上手い。
そして精神的にえげつない話だ。
ラストが切なく、悲しすぎる。


「陽だまりの詩」
人間が死に絶えた世界で作られたアンドロイドである私。
私を作った彼を看取り、埋葬するのが存在理由である。

ここでやっとえげつなくない話。
オチは割と早い段階から予想できた。
儚く、美しい世界観が好きだ。


「ZOO」
今日も俺のかつての恋人の死体の写真が郵便受けに入れられていた。
しかし、これを入れている人物は……。

表題作。
自分が殺したのに犯人を探し続ける演技をする俺。
自首する勇気、正確には自分が彼女を殺したことを認める勇気が持てず毎日演技を繰り返す。
これまた歪んだ話だ。


全体のレベルが極めて高く、天才、乙一の最高傑作の一つと言えるのではないだろうか。


評価:AA+


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(2006/05/19)
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Edit / 2011.06.18 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
暗黒童話
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第百二十四回
乙一の『暗黒童話』

突然の不幸な事故で左眼と記憶を失った「私」。
やがて交通事故で死んだ男性から眼球の提供を受けた。
するとその左眼は元の持ち主がその眼で見てきた記憶を再生し始めた。
その映像から提供者の名前が冬月和弥だと知った「私」は和弥が生前暮らしていた街へと赴く。
そこで待ち構えているものも知らずに……。

乙一の初長編だ。
騙されまいと思って読んで、見事騙されずに一点読みで犯人を当てられた。
序盤からこいつくさいな~、と思いながら二人で館へ行った時に確信した。
ちょっと気持ちよかった。
が、騙してほしかったという気持ちもある。

ぐろい所はきちんとぐろい。
三木の能力に特に説明はない。
ただそういう能力があるからある、という態だ。
そして三木はその能力をぐろい方向にフルに使う。

全体的に淡々としていて、悪くいえば小さくまとまってる感がある。
上から目線だと、まあ、及第点は越えてるかなという印象。


評価:B-


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Edit / 2011.06.07 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
平面いぬ。
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第五十二回。
乙一の『平面いぬ。』
全四篇の短編集。

「石ノ目」

幼い頃に失踪した母の手がかりを探すために山に入った主人公とその同僚。
迷った末にたどり着いた民家には不気味な老婆が住んでいた。

出だしは典型的な怪談だが、乙一がそれで終わるはずもない。
何が凄いって石ノ目が登場しないことだ。
しかも、存在しないわけではなく、もう死んでしまったのだ。
なんともあっさりだ。
でもそれがいい。

「はじめ」

誤ってひよこを殺してしまった少年らが罪をなすりつけるために作り上げた少女、「はじめ」
空想上の存在に過ぎなかったはずのはじめだったが、いつしか人格を持つようになる。

乙一お得意の、おとなしい少年が主人公の話。
何か既視感があると思ったら、「ウソカノ」に設定が似ている。
こっちの方が好きかな。
最後切ないな~。

「BLUE」

不思議な生地で作られた人形が動き出し意思を持った。

いや~、これ、きっついな。
正直序盤で嫌な予感はしてたんだけど。
どれだけひどい目にあっても、周りを憎まず、ひどい目にあわせた張本人たちを嫌わないブルーが辛い。
また最後が切ない切ない。

ぬいぐるみ作家の自殺は伏線かと思ったけど別になんでもなかったみたい。

「平面いぬ。」

表題作。
謎の中国人に掘って貰った犬の入れ墨がある日突然動き出す。

この手の話には弱い。
自分が愛されていると確信できない、でも確かめることもできない。
不器用だよな~。

病院で助けた男の言い草にはびっくりした(笑)
まあ権力をもっている人間なんてえてしてあんなもんか。


四つとも切ない、白乙一だった。
「BLUE」が一番好きかな。



評価:A



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Edit / 2009.03.19 / Comment: 4 / TrackBack: 2 / PageTop↑
失はれる物語
カテゴリ: 乙一 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

「ボクはパンツくんだ! ヨロシク!」


第五十回。
乙一の『失はれる物語』
全八篇の短編集。
全体的に儚く優しい感じで、白乙一、黒乙一の分類で言えば、白乙一よりの作品が多いように思う。

「Calling You」

友達のいないリョウが、頭の中に作り出した携帯電話にある日突然シンヤという少年から電話がかかってくる。
二人は仲良くなり、直接会うことになったのだが……。

まず設定が凄い。
頭の中に作り出した携帯で会話するというのは、ちょっと普通では思いつかない設定だ。
こういう斬新な設定をぽんぽん出してくる乙一は凄いな~と思う。

もう一人の頭の中の携帯の持ち主の原田さんの正体もね、すごくいい。
ベタといえばベタだが、でもこれ以外の正体はないだろう。

「失はれる物語」

表題作。
交通事故により、右腕の触感以外の全ての五感を失った主人公。
わずかに動く人差し指だけしか他人とコミュニケーションをとる手段はない。

これも凄い。
考えただけでもぞっとしない。
見えない、聞こえない、臭いも味も触感もわからない。
外界と完全に遮断されているのだ。
これは本当に怖い。

最後の余韻も素晴らしい。
優しくて、綺麗で、そして哀しい。

「傷」

クラスメイトを殴ったことで特別学級に入ることになった主人公。
そこに転校していたアサトは他人の傷を自分に移し、またそれを他人に自由に移せる力を持っていた。

少し黒乙一よりだろうか。
虐待を受ける子ども、周りに溶け込めない子どもは乙一が好んで扱うテーマだ。

シホのことはかなり心に来た。
乙一はこういう「本当に酷いこと」を描くのが上手い。
しかもさらっと出してくるから質が悪い。
でも救いのある最後でよかった。

「手を握る泥棒の物語」

旅館の壁に穴を開けて、中の物を盗もうとした主人公だが、誤って女の手首を掴んでしまったのだが……。

この設定も凄いと思う。
膠着状態なのだが、どこか間が抜けてる。
また最後がいいんだわ。
かなりお気に入り。

「しあわせは子猫のかたち」

前の住人が殺された家で一人暮らしをすることになった主人公だが、家の中には自分以外の人間の影が……。

こういう風なあらすじなら、幽霊物のホラーだと思うだろうが、そんなことはない。
ものすごくほのぼのしている。
主人公と雪村のやり取り(やり取りというほどのことはしていないが)が微笑ましい。
というか雪村の行動が、か。
大岡越前と落語が好きで、写真が趣味の女子大生。
渋すぎる。
また、恐怖の書置きの『わたしもラーメン食べたかったよう』のくだりの可愛らしさはただ事ではない。
ただ、それでも死んだ人間と生きた人間は決して触れ合うことはできない。
切ない。

ミステリー仕立てではあるが、別に意外な犯人というわけでもない。
むしろ子猫のくだりがびっくりだ。

これも終わり方がいいな~。
こう、何と言うか、凄いほろ苦い気持ちというか、そんな感じになる。

「ボクの賢いパンツくん」

「しあわせは子猫のかたち」の次にこれを持ってくるとは。
笑わざるをえない。
完全に脱帽である。

「マリアの指」

一人の女性が電車に轢かれて死んだ。
恭介はひょんなことからその指を手に入れる。

これもまた、重いな。
ミステリーとなっているが、犯人は完全にわからなかった。
不覚。

「ウソカノ」

安藤夏という彼女がいると嘘をついてしまい、嘘に嘘を重ねるうちに、頭の中で、安藤夏はリアリティを増し、会話ができるほどになっていった。

バカけた題材だし、落ち着いて考えれば、ちょっと危ない奴でしかないのだが、それを大真面目に正面から書いたら、これがなかなかどうして、切ないじゃないか。


総じて、締め方の上手い作品が多い。
これは乙一の特徴だろう。

いじめだとか、周りとなじめないだとかいうのは乙一本人の経験だろうか。
何と言うかある種病的なものを感じる。
だが、そこがまた魅力でもある。



評価:AA



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Edit / 2009.03.11 / Comment: 3 / TrackBack: 3 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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