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空中ブランコ
カテゴリ: 奥田英朗 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第七十七回
奥田英朗の『空中ブランコ』
直木賞受賞作品

精神科医伊良部シリーズ第二弾
今回も連作短編となっており、バラエティー豊かな患者たちが伊良部の元を訪れる。
跳べなくなった空中ブランコ乗り、先端恐怖症のやくざ、義父のヅラをはぎとりたい衝動に駆られる医者、一塁に送球することが怖くなったベテラン野球選手、執筆中の小説の設定を以前にも使っていないか気になってしょうがない女流作家などだ。

伊良部の行う治療行為は相変わらずビタミン注射だけである。
それも伊良部が注射フェチなだけで治療行為とは言えない。そして看護婦は相変わらず露出狂だ。
その後は相手の職業などに興味を持ち、のめり込んでしまう。
そうこうしているうちに患者の症状は改善されてしまうのだから面白い。

さて、以前の『イン・ザ・プール』の時は伊良部は自覚してあんな行動をとっているのではないかと書いたが、やはり伊良部は何も考えていないようだ。
好き勝手やって、それがたまたまいい方向に働いているだけのようである。

面白かった。
面白かったのだが、直木賞を取るほどかと感じた。
奥田英朗ならもっと他にふさわしい作品がありそうだが。


評価:A


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Edit / 2010.09.13 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
イン・ザ・プール
カテゴリ: 奥田英朗 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

第六十四回。
奥田英朗の『イン・ザ・プール』

近況報告だけしてまた失踪するのもアレなので、リハビリがてら書きます。
ちゃんと感想を書くのは本当に久しぶり。

精神科医、伊良部シリーズの第一作になるのだろうか。
読もう読もうとは思いつつ、読んでいなかった作品の一つだ。
伊良部という名前と、精神科医という肩書から、理系の変わり者なインテリをなんとはなしに想像していた。
森博嗣のS&Mシリーズの犀川創平や、東野圭吾のガリレオシリーズの湯川学のような、だ。
しかし、伊良部総合病院の地下にある、神経科で患者を待ち構えているのは、甲高い声の色白で太った、注射フェチのマザコン男である。
予想通りだったのは変わり者という一点だけだった。

さて内容だが、奥田英朗ということで、やはり安心して読める。
一癖も二癖もある患者たちが、さらに癖のある伊良部のもとを訪ねる形式の連作短編となっている。
プール依存症、陰茎強直症、自意識過剰の妄想壁、携帯依存症に、強迫神経症とかなりの粒ぞろい(笑)。
ちなみに看護婦は露出狂だ。

伊良部の施す治療もとても治療とは思えないモノばかりだ。
その割には患者たちはちゃんと症状が改善されているのだが。
ただ、続けて読んでいけばこれが、ちゃんと「治療」であることがわかってくる。
伊良部は患者と同じ症状になることで、患者に自覚を持たせるという感じか。
意図的にやってるのか若干怪しいが、まあ、たぶん、ちゃんと考えているのであろう。
さすがに陰茎強直症までは同じ症状になるというわけじゃなかったが(笑)

さて、登場する患者たちだが、そのほとんどの症状に心当たりがあるというかなんというか。
いや、別に私が鬱気味だというアピールをしたいわけではない。
何かに入れ込みすぎてしまったり、人に怒ることができなかったり、なんとなく視線を感じたり、仲間外れが怖かったり、心配しだすと止まらなくなったり、なんだか他人事の気がしないのは私だけではないと思う。
正気と狂気のライン、正常と異常の境なんてのは案外我々のすぐそばにあるということだろう。




評価:A



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Edit / 2009.10.27 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
東京物語
カテゴリ: 奥田英朗 / テーマ: 感想 / ジャンル: 小説・文学

いとしのエリーはいつまでもおかしそうに笑っていた。


第三十五回。
奥田英朗の『東京物語』

こういう、半生を振り返るような作品が好きだ。
振り返る思い出はいつだって楽しくて儚い。
だからこそ美しく映る。

上で述べたように、この小説は主人公の久雄の青春時代を描いた青春小説だ。
はっきりと明示されているわけではないが、久雄は恐らく著者、奥田英朗の分身だ。
プランナーやコピーライターは著者も経験した仕事のようで、そう考えればこれは自伝小説だともいえるのだろう。
どの程度が事実なのかは、著者のみぞ知るところか。

さて、内容だが、淡々としていて、ドラマティックな展開があるわけでもない。
一つ一つのエピソードのその後も説明されない。
投げっぱなしと言えば投げっぱなしだ。
だが面白い。
文章の上手さがあるんだろう。
読者をのめりこませる力がある。
大事件を描く小説も面白いが、それは必要不可欠なものではないと教えてくれる。
殺人事件も、心霊現象も、何もなくても、日常の範囲内の出来事でこんなに面白い小説は作れるのだ。

六つの章に分かれているが、時系列順には並んでいない。
社会人から始まり、浪人生、大学生、再び社会人、独立してフリーランス、バブル時代となっている。
大学生の時の話が一番好きだ。
素直になれずに強がってしまう女の子と鈍い久雄。
甘酸っぱすぎる。
まあ、一目惚れだって恋だと思うけどね。
先輩に片思いしながら、同回生の女の子に自分が惚れられていると自覚した途端、甘い気持ちになってしまう久雄は現金と言えば現金か。
が、まあ、男はそんなもんかとも思う。

他のエピソードも一つ一つが非常に質が高く、楽しんで読めた。
や~、良作だなあ。



評価:AA



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Edit / 2009.01.26 / Comment: 5 / TrackBack: 1 / PageTop↑
プロフィール

gaker

Author:gaker
福井晴敏と本多孝好が好きです。大好きです。
もう家に本を置く場所がありません。

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2008 11/13(木)開設

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